Miscellaneous notes (in Japanese)
雑記


2024/04/28

2年間にわたってこのページに何も書いていないことに気がつきました。 2022年度の年間報告2023年度の年間報告をウェブにも掲載してあります。

2023年度は「日本ソフトウェア科学会基礎研究賞」「可視化情報学会学会賞(論文賞)」の2つの大きな表彰をいただきました。この表彰に恥じないように2024年度以降も精進いたします。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。


2022/04/02

2021年度の年間報告をウェブにも掲載しました。2022年度もこの調子でたくさんの人にお世話になることと思います。引き続き、なにとぞよろしくお願いいたします。


2021/12/13

インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (WISS) という研究集会で僭越ながら最優秀論文賞をいただきました。 トロフィーを1年間お預かりすることになりました。伝統的な研究集会の歴史に名前を残すことができて非常に嬉しく思います。



2021/10/14

研究室運営のノウハウについて人からよく質問されるのですが、これについて考えていて突然「3つのASAP」というフレーズを思いついたので、備忘録としてここに書いておきます。偉そうなことを書いていますが、自分でも実施できていない面が多々あるので、備忘録だけでなく自戒を含めた文章となります。
As Soon As Possible: 学生や共同研究者からのメールやメッセージには極力迅速に回答することで、学生や共同研究者が早く次のステップに移れるようにする。
As Systematic As Possible: スケジュール管理、各種データの共有、研究手法のマニュアル化などをできるだけシステマティックに進めることで、メンバー全員が知識とノウハウをスムーズに共有できるようにする。
As Self-sustaining As Possible: 学生1人1人が自分で計画を立てて、そのもとでできるだけ自律的に研究を進められる、という状況を早く作る。


2021/07/21

文系理系を問わず履修者が集まる全学共通科目(一般教養科目の一種)の定期試験にて、以下のような自由記述問題(一種のボーナス問題?)を出しました。

90%の対面授業参加者と10%の配信授業参加者がいる科目で、教室にいない10%の履修者を置いてきぼりにせずに一体感のある授業を実現するために、本科目で習った技術のうち何をどのように活用することが案として考えられるか、あるいは他にどのようなアイディアが考えられるか、自由に考えて論ぜよ。

これから上述のような状況はいくらでも起こり得ると考えます。例えば、大学全体としては対面授業が復活しても、ワクチンを接種できない学生は配信授業参加の継続を希望する、というような状況が考えられます。このような多様な参加者が想定される状況において、思いやりをもって技術を駆使することを考える機会になればと考えました。

圧倒的に多かった回答は以下の2点でした。
・最適なネットワーク技術を駆使することで、品質とリアルタイム性の高い配信を実現する。
・コメントスクリーンに代表されるオンライン参加技術を活用して、教室からも自宅からも同等な環境で授業に参加する。
もっとも、上述の1つ目はオンライン授業に関係なく一般的な話ですし、2つ目は伊藤の授業では既に実現しています。ここではそれ以外の、近未来的な提案の例を(ごく簡単な文に要約して)リストアップします。数年後に誰もが使うくらい普及しているのはどれでしょう?

  • 仮想空間の構築: 3次元CGやVRを駆使して仮想の教室をつくり、その中で授業をしているシーンを作ることで、全員が同じ空間にいるような演出を図る。教員の3Dモデルを作って教室での動きを再現する。
  • 教室設備の充実:360度カメラや多数のマイクを教室に設置して臨場感を配信する。黒板撮影専用のカメラを設置してズーム機能などを充実させる。オンライン参加者の声を教室参加学生に近い位置のスピーカーから鳴らす。
  • 自宅環境の充実:家庭用プロジェクションマッピング環境を用いる。教員の声と教室の音を別スピーカーで鳴らすようにする。自宅設置用の教師ロボットを開発する。
  • 画像合成の活用:教員の姿をカメラで追跡してスライドに重ねて表示する。教室のリアルタイム映像を配信参加者のバーチャル背景にすることで教室参加感を出す。
  • 音声認識の活用:教室参加者でマイクから遠い人の発言は自宅から聞き取りにくいので自動的に文字表示する。逆に自宅参加者で小声でしか話せない人の発言も文字表示する。教員の声も必要に応じて文字表示する。
  • 履修者の追跡:履修者の表情を認識してスタンプ等の自動表示に反映する。教室履修者目線のカメラ撮影画像を配信する。
  • 素顔を見せるコミュニケーション:参加者全員のリアルタイムな顔を並べ、対面履修者はスクリーンから参加者の顔を見る。
  • 素顔を見せないコミュニケーション: 学生の顔をぼかして教室の風景を配信する。デフォルメした顔でのオンライン参加を要請する。アバターやVTuberとして授業に参加する。
  • 学生間交流の活性化:教員には見えない学生間のチャット環境を作る。対面履修者と配信履修者の混合でグループ議論やグループ制作を実施する。スマホを道具にした実習により全員平等な授業参加を図る。

これに似た出題を1年前にも設けたのですが、1年前の回答と比較しても技術的な考察に深みのある答案が増えたような印象を受けました。
この他、「あえて録画やオンデマンドを一切使わずに対面授業+同時配信だけにしたほうがよい」という意見も何件かありました。いろいろな発想があって教員にも参考になります。


2021/07/08

全学共通科目の小レポートに書かれた授業感想です。褒められているものだけをピックアップして紹介します。

・この授業は家で一人で受けていてもコメスクやTwitterから他の人の動きが見られるので気が散ったり飽きたりせず楽しめてとてもいいと思う。Twitterは後から見返すこともできるし、ぜひ今後もあらゆるデバイスからこの授業を楽しめる体制が続いていってほしい。

・コメントスクリーンがあることで、気軽に意見を発信することができ、オンラインでも対面と同じような感覚で、むしろより積極的に授業に参加したり他の学生の意見を聞いたりすることができたように思う。

・この授業をきっかけにして、ほかにもコンピュータ関連の授業をとりたいと思うようになりました。私は文系の学問をしていますが、そんな垣根関係なしに、理系よりの分野も勉強したいと思います。

・とても面白い講義だったので、対面で聞けなかったことが心残りだ。

・コメントスクリーンを使う授業は他にもあったが、こんなに参加した授業は初めてだった。履修者のノリも10年くらい前のインターネットのようで面白かった。

・先生の話の内容がおもしろい上に、勉強になることも多いので、この授業を毎週楽しみにしていました。コメントスクリーンなどを利用することで、いつもわいわいとした雰囲気でやっているのもとても良かったと思います。朝は早いですが、がんばって起きて、この授業を取ってよかったと思います。ありがとうございます。

・この授業はオンライン授業で初めて楽しいと思った授業ですし、疑問をその場で解決することができる面白い授業だと思っています。いつもありがとうございます。

・コメントスクリーンでの反応やコメントの書き込みがとても楽しいです。皆さんの優れた質問や指摘が印象に残ります。他の先生方にもコメントスクリーンを布教していただきたいくらいです。

・1限は辛いけれど、聞きたくなるような面白い授業でした。Twitterでの盛り上がりも面白かったです。ありがとうございました。

・私が高校時代に思い描いていた「大学の授業」を一番再現されている授業がこれだと思っています。

・感想をTwitterやコメスクで打つことを奨励された授業は初めてだったので(先生の想定していない質問や感想は普通嫌がられる)、お茶大受かってよかったと思いました。

・オンライン授業の良い所が詰まったような授業で、常になにかしら自分の手が動いているのがとてもいいなと思った。

・本当に楽しんで意欲的に参加することができた。先輩たちが口を揃えて「面白い授業」というその理由が理解できた。苦手な分野でも、体験的に学ぶ楽しさを改めて認識することができた。

・ガチガチの文系なのでついていけるか不安だったのですが、楽しく受講することができました。横で聞いている母もわかりやすいと絶賛していました。楽しい講義をありがとうございました。


2021/05/23

仕事上の座右の銘をいくつか列挙します。拾ってきた言葉については出典を書いています。それ以外は自分で考えた言葉です。他にもいくつかあったと思うので後日追記します。

「質問せざる者、卒業するべからず」 質問は大学生活で身につけてほしい重要なスキルの一つであると考える。理解できていないことをその場で解決できるスキル、発言によって自己の存在をアピールするスキルは非常に重要な渡世術である。質問することを遠慮していては学費のモトは取れないと考えたほうがよい。なお個人的には、オンライン授業では授業中にコメントを書きやすい体制を設ける、研究室ゼミでは学生発表に学生が質問する時間を設けるなどしている。

「やりたいこととできることの間に答えがある」 どこかで拾ってきた言葉。卒業研究を例にとると「好きなこと」「やりたいこと」を研究テーマに選ぶのは学生の権利である一方、それが最良なテーマであるとは限らない。そこで例えば研究室内に蓄積された「できること」を組み合わせることで、自分のやりたいことが実現に近づく。この考え方は卒業研究に限らず、企業の業務でも、個人の趣味でも、ある程度適用できる考え方である。

「発表は質疑の前座であり、質疑は懇親会の前座である」 学会発表は業績をつけるだけでなく、その後の質疑でコメントをもらうことが発表者の収穫になる。そして得てして、最も有益な意見は懇親会など(コーヒーブレークや昼食でもよい)のカジュアルな会話の中に現れることが多い。また懇親会などの場での参加者と面識ができることが最大の収穫だったという場合もある。この考え方は学会発表に限らず、学生生活や社会人生活での多くのイベントにおいて全く同様に当てはまる。

「変わらないために変わる」 有名ラーメン店の店主がインタビューであげた言葉。自分の強みを変えずに活かし続けるために、表面的な部分で自分を変えて、流行や環境にフィットしながら自分の強みを維持しようという考え方。

「仕事の速さに勝る万能なスキルはない」 速く手を動かして短時間で仕事を消化するための方法論をできるだけ多く持つことが一種のスキルであると考える。仕事を消化する時間が短くなれば、もっと仕事をして成果を大きくすることもできるし、早く帰宅して好きな時間にあてることもできる。仕事の速さは万能なスキルである。

「好きなものをたくさん大切にする」 好きなものがたくさんあれば、どれかが仕事につながる可能性が高まるし、また複数の好きなものを組み合わせて働くことが自分の強みになる可能性もある。日常生活をみても、好きなものが多いほど精神安定につながる機会が多い。好きなものが多ければ多いほど人生は安定したものになると考える。

「少なくとも三兎を追いなさい」 最低でも勉強・部活・行事の3つをすべて全力で取り組みなさいという出身高校の教え。大学生活もこの教えと同様に、勉強や研究だけでなく、サークル活動や趣味、職業訓練など、多くのことに精力的な時間を過ごすべきであると考える。若い人は忙しくてちょうどよい、何かに集中するために何かを諦める必要はない、という方針で教育に関わっている。

「食わざるもの、働くべからず」 研究者仲間から聞いて感銘を受けて追記しました。学問にせよ就業にせよ、食事をはじめとする日常生活をおろそかにしてまで集中しすぎるな、という意味を含んでいることかと思います。


2021/04/10

2020年度の年間報告をウェブにも掲載しました。2021年度もこの調子でたくさんの人にお世話になることと思います。引き続き、なにとぞよろしくお願いいたします。


2020/12/20

いくつかまとめて報告いたします。

日本学術会議の「理工系ジェンダー・ダイバーシティ分科会」の第25期委員に就任することになりました。 女子大学の理工系教員を代表して、社会に貢献できればと思います。

Graph Drawing という伝統的な国際会議があるのですが、その初のアジア上陸として2022年に東京で開催することになり、実行委員長を務めることになりました。現地開催できることを今から祈っています。

ARG 「Webインテリジェンスとインタラクション」研究会 の第16回WI2研究会にて企画された招待パネル 「情報系のオンライン演習・講義における工夫:Like duck’s webbed feet in underwater」 に登壇させていただきました。
コンピュータグラフィックス分野の国内最大のシンポジウムである VC2020 にて、「国際論文誌・学会採択論文招待セッション」で講演をさせていただきました。
ヒューマン・コンピュータ・インタラクション分野の国内有力ワークショップである WISS2020 にて、登壇発表論文が採択されたので発表させていただきました。

数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムの 関東・首都圏ブロックが定例開催するワークショップ で、 「お茶の水女子大学におけるデータサイエンス教育:人文/社会科学・附属高等学校への展開」というワークショップを12月23日に開催いたします。

神戸大学グラフィクスリテラシー教育研究センターが開催する連続セミナーにて、 「情報可視化による複雑現象の表現」というタイトルで1月25日に講演いたします。


2020/12/09

私の勤務先であるお茶の水女子大学の情報科学科では、各研究室が任意企画として12月頃に中間発表会を実施し、下級生に研究室を見学させる機会をつくる習慣があります。ほとんどの研究室が学内向けに中間発表会を実施しているのに対して、私の研究室では研究面でお世話になっている学外の方々にも公開する形で、博士論文・修士論文の中間発表会を開催しています。
今年はコロナウィルス感染の影響で、この中間発表会を初めてオンライン開催しました。各学生の発表をZoomでリアルタイム配信して、Zoomのチャット機能で質問やコメントを受け付けました。それと同時に、Scrapboxというシステムにて参加者が自由に質問を書き込めるようにしました。発表者の資料や付録動画などもScrapboxに貼り付けました。

中間発表会では各発表者に発表15分・質疑10分が割り当てられていました。質疑10分というのは情報科学系の国内学会の標準的なタイムテーブルと比べても長いほうなのですが、それでも各発表に対して時間いっぱいの質問が寄せられました。さらにScrapboxにも参加者からの多数のコメントが寄せられました。口頭やチャットといったリアルタイムの質疑と並行して、いつでも自由に質問を書き込めるシステムを併用することで、さらに豊富なフィードバックを集めることができました。Scrapbox上のコメントは記名でも無記名でも可ということにしたので、これが質問や意見を書き込む敷居を低くしている面もありました。
中間発表会のプログラムの最後に、私が下級生(博士前期1年・学部4年)の研究動画紹介をしたのですが、その間に発表者は質問の回答や補足をScrapboxに次々と書き加えていきました。おかげで参加者の多くは、中間発表会の終了までに質問の回答を読むことができたであろうと思います。

研究室独自企画のこじんまりした中間発表会であるにもかかわらず、本格的な学会にもひけをとらない充実した内容の質疑を得ることができました。発表者の資質や、参加者の熱意もさることながら、ZoomやScrapboxといったシステムの便利さも再認識した1日でした。

この中間発表会は私の研究室が毎年企画しているもので、昨年までは教室に参加者を集めて対面形式で実施し、さらに立食形式での懇親会も実施していました。コロナウィルス感染が収束すれば通例の対面形式に戻す予定ですが、だからといってZoomやScrapboxの使用をやめる必要はありません。むしろ対面開催の発表会でもオンラインシステムを併用することで、また新たな収穫が生まれるのではと思います。
私は授業や研究発表での対面と遠隔の融合に大変興味を持っており、拡張教室 (Augmented Classroom)を実践する日を楽しみにしています。今回の中間発表会は個人的にはその前哨戦としての手ごたえをつかむ機会となりました。


2020/11/01

いくつかまとめて報告いたします。

日本学術会議の 連携会員の一員に加わることになりました。「総合工学委員会」の「可視化分科会」の配下に新しい小委員会を設立する予定です。

国際会議 IEEE Multimedia Information Processing and Retrieval (MIPR) 2021 にて、 Multimedia Visualization and Interactive Retrieval というSpecial Sessionを企画し、Session Co-chairを務めることになりました。

情報処理学会音楽情報科学研究会 (SIGMUS) 第128回研究発表会(夏のシンポジウム)にて、「音楽を見る:情報可視化技術の音楽情報処理への適用」というタイトルで招待講演を務めました。

人工知能学会誌35巻5号の特集「ダイバーシティとAI研究コミュニティ」にて、「女子大学におけるIT産業への進路事例」というタイトルの記事を寄稿しました。また、この記事に関連したインタビュー記事が AINOW に掲載されました。

お茶の水女子大学大学院博士前期科目「ビジュアルコンピューティング特論」の主内容である情報可視化の講義をYouTubeにて 13本のビデオで公開しました。関連分野に従事する方々の参考になれば幸いです。

お茶の水女子大学附属高等学校の「課題研究基礎」にて 「データサイエンスへの誘い」というタイトルで特別講義を担当しました。また、この内容に関連する実習を行いました。

富山大学 「データサイエンスに関する講演会」の一環として、「デジタルヒューマニティーとデータサイエンス」というタイトルで講演をいたします。


2020/08/06

今年度はコロナウィルスの影響で授業がオンライン化されていますが、多くの大学教員はいま、コロナウィルスの収束後の大学はどうなるか、という点に注目しています。そこで私は、担当科目のオンライン試験の自由記述問題として、

「従来の対面型の授業に戻った上で、オンラインシステムを併用するとしたら、
どのようなメリットがあるか、どんな新しいスタイルの授業が生まれるか」

という問題を出したところ、非常にバラエティ豊かな回答が得られましたので、集計した結果をここに共有いたします。
教員がちょっと考えて思いつくようなアイディアは、短い試験時間の中でも学生も瞬時に思いつくものだ、ということが非常によくわかります。個々の回答には未来性の高いものや思いやり深いものが多く、非常に頼もしいものを感じました。
なお、本回答は90分間で20問(1問平均4.5分間)という慌ただしい試験の中での回答です。しかも、まだキャンパスで対面授業を受けていない1年生が回答者の半分弱を占めています。学生の問題意識は立派なものだと思います。
こういう自由記述は得てして少数意見のほうが独特で面白いものです。ぜひ少数意見まで含めて全部ご覧ください。

(25人) SNSやチャットを通して自由に意見を共有したり、挙手・投票の集計結果を瞬時に見ることができる。
(24人) 他大学の授業を自由に履修したり、他大学とのコラボ科目を企画したりできる。またオンラインでの擬似留学が可能になる。
(22人) 病気・ケガ・登校拒否などの事情を有する学生も授業に出席できる。突然の体調不良時に自宅で出席できる。
(22人) プライベートチャットなどにより、授業を中断させずに、かつリアルタイムに質問ができる。
(21人) 遠方に住む学生が通学時間を節約できる。実家や母国に帰った時にも授業に参加できる。
(18人) 板書やコンテンツは手元のPCに閲覧されたほうが見やすい。教室よりも全員平等に一定の品質で資料を閲覧できる。
(16人) 学校に行かない曜日を作りたい場合でも、その曜日の科目が配信を併用していたら履修しやすい。
(15人) 学外の専門家を授業に招聘しやすい。
(10人) 悪天候や交通機関の乱れが生じても、その日だけオンラインに切り替えれば休講を減らせる。
(9人) 議論・実験・実習科目は対面中心、座学はオンライン中心、というように併用の全体的方針を立てることで、フレキシブルな開講ができるようになる。例えば両者の開講曜日を分けることにすれば、通学しない曜日をつくることができる。
(9人) 対面中心の科目でも、録画やオンデマンド資料を併用することで、復習や練習を支援しやすくする。
(8人) オンラインのブレークルームなどを使ったグループワークやディスカッションにより、ランダムに組まれた相手との議論を楽しめる、他のグループへのネタバレを防げる、などいくつかの効果を得られる。
(7人) 同一時間帯の複数の科目を履修する、ゼミやサークルなど時間割に現れない活動がぶつかった科目を履修する、といったことができる。それ以外にも、スケジュール上の都合により従来なら履修できなかった科目が、オンデマンド資料の提供によって履修可能になる。
(7人) 教員からの説明や資料提供の週はオンライン、議論や実習の週は対面、というように週によってオンラインと対面を使い分けることができる。
(7人) 遠方への訪問、大規模実験、フィールドワーク、ジムでの実習などについて、実現が難しい場合にオンラインで代用できる。
(6人) オンラインのほうが他学年・他学部の科目を気兼ねなく履修できる。
(5人) 授業自体は対面だけど資料はオンラインにすればペーパーレス化を促進できる。
(5人) 教員が出張中でも出張先からオンラインで授業を実施できる。
(4人) 育児・介護など通学しづらい事情がある人が自宅からのオンライン前提で履修できる。
(3人) 学生側に定員がある科目でも、抽選に外れた人をオンラインで履修または聴講させることができる。
(3人) 教室まで持参しにくい大型物品を用いた授業を、現地から配信または録画することで実現できる。
(2人) 画面共有機能などによって授業の対話性が高まる。
(2人) 家族や外部評価者による授業参観が容易になる。
(2人) 教員が自分の授業を振り返って改善を図ったり、教員自身のITスキルを向上させたり、といったFaculty Developmentにつながる。
(2人) 学外を含む複数の教員によるコラボ科目の可能性が高まる。
(2人) 実験や調査に対して対面とオンラインを併用することで、比較実験をしたり、情報収集力を高めることができる。
(2人) 原則オンライン開講の科目でも、どうしても対面で質問したい時だけ登校する、といったことができる。
(1人) 対面授業だけど教員は別室から配信、といったことが便利な場合がある。例えば教員が体調に自信がないときなど。
(1人) オンラインによる個別サポートの時間を設ける。
(1人) 学生企画の授業科目をオンラインで立ち上げる。


2020/08/01

今年度はコロナウィルスの影響で各大学とも授業がオンライン中心になり、学生どうしで対面できないことが孤独感やストレスにつながり、また学習の足かせになっている事例があると言われています。そのため夏になって各大学とも、上級生が下級生を指導する取り組みや、教員と学生との対話を増やす取り組みを実施している、という報道がありました。

国立大学では一般入試の受験生は3月に合格が決まるわけですが、今年の3月はもうコロナウィルスの影響が出始めていて、東京大学をはじめいくつかの大学では早々に授業のオンライン化を決めていました。この時点での今年のお茶大生の新入生に対する動きは本当に鮮やかでした。本学では各学科に「ピアサポーター」という相談役先輩がいるのですが、ピアサポーターやそのほか自主的に動いた学生たちが、3月の入試合格発表の直後からTwitterで「#春からお茶大」というハッシュタグを使って自己紹介している合格者を片っ端から誘導して、合格者の入学後の友達作りをサポートしていました。学科によっては入学前の3月のうちに、入学前の新入生全員のLINEグループが完成していたそうです。情報科学科は4月上旬のうちに1年生全員を学科Slackに集め、Zoomで何度か、各学年混じっての雑談会を開催していました。つまり、本学の多くの学科では、上述の報道にあるようなことは3,4月のうちにある程度達成していた、ということになります。

このようなインフォーマルながらとても親身なサポート体制は、本来なら非常に大きな価値をもつ本学特有の現象だと思うのですが、残念ながらこのような校風を受験生やその親御さんに伝えることは容易ではありません。せめて、このページをご覧いただいた受験生の皆さんに、本学の本当の価値が伝わってくれれば…と思う次第です。


2020/07/14

本学の大学院科目「ビジュアルコンピューティング特論」で情報可視化の講義をしていますが、その資料の一部をビデオとして公開する試みを始めました。コロナ社から2018年に出版した 「意思決定を助ける情報可視化技術」 からの抜粋内容です。この公開にはコロナ社のご同意を頂いています。
以下のYouTubeのチャンネル

YouTube: お茶の水女子大学ビジュアルコンピューティング特論・情報可視化
から公開していますので、ご興味のある方は閲覧して頂けると幸いです。

2018年にカナダの ブリティッシュコロンビア大学を3週間訪問 して始動した研究プロジェクトがあるのですが、その研究プロジェクトの論文が 国際会議IEEE Pacific Visualization 2020にてHonorable Mention Award という表彰に選ばれました。この訪問は当時学科長だった私が3週間職場を離れて実施したものです。理解ある勤務先学科の方々に心から感謝します。


2020/06/04

本学の 文理融合AI・データサイエンスセンターのセンター長の役職を拝命して1年が経過しました。 人工知能やデータサイエンスの直接の専門家でもない自分には重大な役職でしたが、周囲の皆様のご協力でなんとか1年を過ごすことができました。

1年間でセンター長として自分が関わった主な業務の例を以下にまとめます。

  • 昨年度から開始したデータサイエンス関連基礎科目の学内教材を他大学に提供するための各種の交渉や調整。
    (参考:日本女子大学との覚書。
  • デジタルトランスフォーメーションやデータサイエンスに関連する企業連携科目(2科目)の立ち上げ。
  • 学内のデータ関連科目を集めた「データサイエンス学際カリキュラム」の制定。
  • AI/データサイエンスに関連する研究に従事する学生の各種支援。
  • 附属高校でのデータサイエンス体験教育企画の立案。
  • 学内共同研究の促進に関する各種の取り組み。
自分自身の研究活動においても、生活社会、食物、舞踊などの多様な学内研究者との交流が進んでおり、この1年間で文字通り文理融合化しています。
これからの1年間は、上記の取り組みで成果を出すための1年間となることと思います。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。


2020/03/25

2019年度の年間報告をウェブにも掲載しました。2020年度もこの調子でたくさんの人にお世話になることと思います。引き続き、なにとぞよろしくお願いいたします。

お茶の水女子大学赴任以来、15年間にわたって同じ部屋に勤務してきましたが、3月末をもって初めて研究室を引っ越します。同じ建物の別の階に移動します。この年度末は荷物整理に追われています。


2019/12/30

お茶の水女子大学附属高校の「新教養基礎」というオムニバス科目で、大学教員の経歴や研究課題の発見過程を紹介する講演者として呼んでいただきました。 「情報科学で音楽を『見る』」 というタイトルで講演しました。
このスライドで紹介する自分のキャリアにはいろんな人が登場してきます。小中学生の頃に電子工作やプログラミングについて教えてくれた電気屋のおじさん、僕を吹奏楽部に無理やり連れていった中学入学時のクラスメート、大学時代の語学留学先の各国のクラスメート、研究職のためのノウハウを教えてくれたIBMの関係者、音楽制作や音楽ビジネスについて教えてくれたインディーズミュージシャンの面々、教育職を志す動機となった非常勤先の履修生、大学教員になってから出会った国内国外の著名な研究者…いろいろな偶然の連続で自分のキャリアがあることを講演準備に際していまさら思い出させてくれました。

本学にはアントレプレナーシップ(ビジネスや起業の心得)に関する特別講座科目があり、その中のアイディアソンか何かで「評論を書きあうウェブサイト」を作ったチームがあったそうです。そしてなぜか「教員による書評を載せたい」という意見が出て、僕がその評者として指名されましたので、僭越ではありますが 書評 を提供いたしました。

大学教員という職種は、全くもってどんな仕事が回ってくるか想像がつかないものである、ということを実感したヒトこまでした。

学生の表彰が1件ありましたのでお知らせいたします。
コンピュータソフトウェア協会という場所で講演 をいたしましたのでお知らせいたします。


2019/08/22

2019年6月1日付けで本学に設立された 「文理融合AI・データサイエンスセンター」 のセンター長に就任いたしました。本学は数理データサイエンス教育の協力校に選出されており、その運営に携わります。また、人工知能やデータサイエンスに関係ある文理融合研究プロジェクトの推進、産学連携の推進などに携わります。自身の研究も機械学習やデータサイエンスを意識したものが増えてくるのではと思います。

学生の表彰が1件ありましたのでお知らせいたします。

9月に上海で開催される VINCI という国際会議で招待講演を担当することになりました。光栄な限りです。

私の研究分野で世界最大の国際会議である IEEE VIS にて単著のポスター発表をすることになりました。 ポスター発表は主に学生や若手研究者が新しい研究成果を披露する場というカラーが強く、私のようなシニアな研究者が単著で発表するのは珍しいかもしれませんが、たまには若手研究者になったような気分でリフレッシュしてこようと思います。

ボーンデジタル社のCGWORLD誌に昨年掲載された 伊藤研の紹介記事がウェブにも掲載されましたので紹介します。


2019/04/04

2018年度の年間報告をウェブにも掲載しました。2019年度もこの調子でたくさんの人にお世話になることと思います。引き続き、なにとぞよろしくお願いいたします。

2005年にお茶の水女子大学に赴任して14年が経過しました。定年までこのまま勤務するとしたら残り14年です。つまりこの4月が大学教員生活の折り返し地点となります。そして大学教員生活の後半を迎え、急激に大学運営に関わる機会が増えてきました。

4月から大学の評議員を仰せつかります。評議員会は大学の意思決定機関ということになっており、勤務先では25名くらいの教員で構成しているのですが、その一員になります。大学運営の中枢の一員として新たな勉強をさせて頂く所存です。
同時に広報推進室長を担当します。オープンキャンパス、ホームカミングデイ、大学案内パンフレット、ウェブなどを担当します。大学の知名度をあげるために微力ながら貢献できればと考えます。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。


2018/10/09

日本ソフトウェア科学会のWISSというワークショップのプログラム委員長を任期2年で引き受けていますが、その1年目にあたる WISS2018が無事に終わりました。 大学への転職以来、本当に多くの刺激を受けてきたワークショップだったので、微力ながらも恩返しをしたいということで1年間取り組んでまいりました。次回は2019年9月25〜27日に長野で開催します。プログラム委員長の後半戦として取り組んでいきたいと思います。

何度か参加したことのあるCyberworldsという国際会議が来年6年ぶりに日本に戻ってくることになり、General Co-Chair(実行委員長)を務めることになりました。 Cyberworlds2019 は2019年10月2〜4日の開催です。

というわけで、自分が委員長を務める学会が2週連続となります。これは自分の経験でも前例のないものです。無事に2週間を迎えられるかどうか…。


2018/09/24

ビジュアル情報処理研究合宿 というイベントで「社会人座談会」という1時間半のセッションがありました。 そのあとの立食も含めて、約50名の参加学生から膨大な質問を受けました。 せっかくなので、 自分の回答 を覚えている限り書き並べてみました。 参加学生の皆さんの何らかの参考になれば幸いです。


2018/08/19

3週間という短い期間ですが、 ブリティッシュコロンビア大学(カナダ・バンクーバー)にお世話になっております。 例によって 滞在記 を書いておりますので、よろしければご覧いただければと思います。


2018/06/03

拙書 「意思決定を助ける 情報可視化技術 - ビッグデータ・機械学習・VR/ARへの応用 -」 追加情報ページ を作り始めました。まだ内容は薄いですが、気がついた内容を書き溜めておきたいと思います。 タイミングを見計らって出版社にも同じ情報を提供しようと思います。
また拙書に対して 素晴らしいレビュー を頂きました。心から感謝いたします。


2018/04/02

かねてから宣伝していた単著書籍 意思決定を助ける 情報可視化技術 - ビッグデータ・機械学習・VR/ARへの応用 - がコロナ社から出版されました。コロナ社のウェブサイトで今年2月の1か月間でに最もアクセスされているページの一つだそうです。どなたかのお役に立てば幸いです。

2017年度の年間報告をウェブにも掲載しました。2018年度もこの調子でたくさんの人にお世話になることと思います。引き続き、なにとぞよろしくお願いいたします。


2018/03/10

今年も卒業研究や修士論文研究を終えて学生が就職する時期になりました。多くの学生は就職すればもう論文を書くことも学会に行くこともないでしょう。

ともすれば学生の研究生活は、研究者になるための専門性や業績をつくる時期と思われがちです。 しかし学生時代の研究生活は多くの人にとって、「自分の仕事を個人名で発表できる」という意味で人生の中でも数少ない機会であり、その意味では研究者にならない人にも価値のある過程であると考えます。

また学生時代の研究生活は、汎用的なスキルや経験をつける時期でもあります。欧米主要国には日本よりも博士課程への進学率が高い国が多数ありますが、研究者のポストが日本より格段にたくさんあるというわけでもありません。博士課程まで進学した人のスキルや経験は産業実務でも役に立つと考えられているからこそ、研究者を目指さない多くの学生が博士課程に進学するわけです。

拙研究室では約90%の学生が修士を出た時点で企業に就職します(そのうち1/6くらいは社会人学生として博士に進学します)。僕の研究室の学生を見ても、修士論文研究を終えるまでの3年間で、例えば
「研究の課題を自分で見つけ、その解決結果を的確に報告できるようになった」
「技術的な知識を自分で検索して得るスキルが向上した」
「人前での発表で緊張しなくなった」
「他者の発表に対してたくさん質問できるようになった」
といった多様なスキルアップを見せています。こういうスキルは就職後に研究以外の業務に就いたとしても汎用的な財産となるでしょう。一方で、こういうスキルは研究と発表のサイクルを何度も繰り返す間にゆっくりと身につくものです。そのため、本人でさえそのスキルアップに気がつかないことが多く、先輩や指導教員にさえ褒めてもらえる機会が少ないように思います。学生時代の研究生活はどうしても難関学会に採録された人や表彰された人が脚光を浴びがちです。しかし本来なら全員に何らかの形で褒められるべき面があるのでは…と考えることが多々あります。

研究生活を終えて社会に出る学生の皆さんにおかれましては、研究を始めたころに比べて自分がどう変化したかを振り返り、自分を褒めて社会に出てほしい、と思います。


2018/02/02

最近の近況です。

産学連携を推進するキャンパスクリエイト社がインタビューに来られ、 拙研究室の産学連携事例 を紹介するウェブページを作っていただきました。拙研究室を選んでいただいたことに感謝するとともに、このようなプロモーションが拙研究室の次の産学連携につながることを願っています。

CG-ARTSが出版する 「実践マルチメディア」 の2章「マルチメディアの処理技術」の執筆に参加いたしました。2018年3月の発刊予定です。
この執筆で伊藤は音響とCGの2分野の執筆に関わっています。今後も視覚と聴覚の両方を対象とした研究者として業界への貢献を目指していきたいと考えています。

情報処理学会第80回全国大会にて、 インターンシップについて本音を語る: 大学教員×企業×学生 という企画セッションに登壇することになりました。 お声をおかけいただいた企画者の皆様に感謝するとともに、学生の将来のためにも有意義なディスカッションをしたいと考えています。ご来場お待ちしています。


2017/11/24

最近の近況です。

コロナ社から「意思決定を助ける情報可視化技術...ビッグデータ・機械学習・VR/ARへの応用」という単著書籍を出版することになり、その初稿をコロナ社に提出いたしました。書籍執筆が決まったのが2016年12月で、実質的な執筆に入ったのが今年3月、それから半年間で勢いをつけて執筆してまいりました。個人的には12年ぶりの単著書籍です。できあがりを楽しみにしています。

可視化情報学会が開催する ビジュアリゼーションワークショップ にて基調講演を担当することになりました。基調講演を先に依頼されてあとから実行委員会にも入るように依頼されたのですが、実行委員が基調講演も担当するというのは形式的に若干恥ずかしいものがあります。上記の単著書籍もワークショップ会場にて宣伝できればと思います。

NICOGRAPH 2017 という国内学会で学生が2件の受賞を頂きました。どうもありがとうございました。
また今年は伊藤も自分で数件の国内学会発表をしているのですが、そのうち 日本ソフトウェア科学会第34回大会 にて優秀研究発表賞をいただけるそうです。 このような賞はどちらかといえば学生や若手研究者を激励する目的のものが多く、シニアな僕がもらってしまうのもどうかと思うのですが、かといって会場からの投票で決まった賞なので理由もなく辞退するのも却って失礼ですし、ではシニアな研究者は発表しなければいいのかというとそれも違う気がするし、なかなか考えさせられるものがあります。

中学生のグループが拙研究室を訪問されました。学校の課題で全員がいくつかのグループにわかれて研究室を訪問して研究内容や研究者人生についてインタビューするというものです。自分が中学生の時からは考えられない企画だと思います。中学生のうちから大学の卒業研究を気にするなんて早すぎと思われる人もいるかもしれませんが、例えば私立大学の附属高校を受験してエスカレーター進学を狙う人からしてみたら中学生のうちから体験しておきたい情報なのかもしれないですね。


2017/08/15

気がついたら4か月ぶりの更新となってしまいました。最近のできごとをまとめて報告します。

Pacific Visualization Symposium という国際会議のGeneral Chair(実行委員長)を引き受けることになり、体制を固めています。まだIEEEという学会の公式会議としての承認が下りてないのですが、承認されればIEEEの冠のついた国際会議となります。この運営でだいぶ忙しくなりそうです。

ACM IUI 2018 という東京開催の国際会議にてStudent Volunteer Chairという役職を務めます。学生ボランティア参加者の募集役です。たくさんの学生の方々の参加をお待ちしています。

国際会議IV2016の代表論文として拙研究室から以下の2件が Journal of Visual Languages and Computingにノミネートされていましたが、無事に2件とも採択されました。学会等で貴重なご意見を頂いた皆様に感謝いたします。

  • Naoko Toeda, Rina Nakazawa, Takayuki Itoh, Takafumi Saito, Daniel Archambault, Convergent Drawing for Mutually Connected Directed Graphs
  • Yuri Miyagi, Masaki Onishi, Chiemi Watanabe, Takayuki Itoh, Masahiro Takatsuka, Classification and Visualization for Symbolic People Flow Data

中国で毎年開催されているChinaVisという会議から派生した 日中合同シンポジウム の第1回が北京にて開催され、講演者として呼んでいただきました。また今年は台北で開催される Pacific Graphicsという有名国際会議の併設ワークショップにも講演者として呼んでいただきました。お呼びいただいた主催者の皆様に感謝いたします。

学生の学会表彰が1件ありましたのでお知らせします。 また伊藤自身も、共同研究先企業との連名でのポスター発表をベストポスター賞に選んでいただきました。

Z会の TEIDAN(鼎談)というサイトにて、伊藤とOG・現役生の3者の会談が掲載されました。講読のためのログインIDは簡単に作成できます。特に大学受験を目指す女子中高生(およびその親御様)の皆様にお読みいただければと思います。


2017/04/21

IEEE Pacific Visualization という国際会議に参加しました。 この会議は今年10年目ということで、オープニングでは10年間を振り返るスライドが何枚か表示されました。以下がその1枚で、上から3番目に伊藤の名前があります。 10年間の論文(合計約300本くらい?)の中で、伊藤の論文が被引用数で現在3位にあるという意味です。82という数字は著名な研究者の方々から見たら大したことない数字かもしれませんが、現在も順調に被引用が増えておりますので今後の展開に期待したいところです。
そしてこの会議、来年は日本開催になって伊藤がGeneral Chair(実行委員長)を務める予定です。これから会議の運営で忙しくなりそうです。



2017/04/16

毎年お世話になった方々に年間報告をお送りしているのですが、2016年度は特に報告内容が多かったので、 2016年度の年間報告をウェブにも掲載しました。
また本学に赴任して以降の 伊藤自身の研究プロジェクトおよびそのソースコード を載せました。
さらに 研究室学生の研究プロジェクトのビデオのいくつか をYouTubeに載せました。


2017/03/22

2014年にシドニー大学に1ヶ月ほど滞在して2つの研究プロジェクトを開始しましたが、そのうちの片方の研究内容が Journal of Visual Languages and Computing という雑誌に採択されて掲載されることになりました。
この研究の論文投稿には不運な経緯がいろいろあり、結果としてシドニー滞在から採択まで2年半を経過してしまいました。私は自分の研究を学生に引き継がせることが多く、この研究も既に学生が引き継いで拡張しているのですが、もとの研究が出版されていないと学生も論文を書くときに何を引用していいか困ってしまいます。そこで本研究の場合にはarXivというサイトに 査読原稿をアップロード して学生の論文からはそっちを引用することにしていました。便利なものです。

この採択をうけてシドニー大学訪問記のうちの1ページ を更新しました。今度こそ最後の更新になるかと思います。


2017/03/03

10月31日の中京大学での拙講演を、 「中京大学人工知能高等研究所ニュース No.39」にて紹介していただきました。


2017/01/15

1月11日に宮崎大学に講演に行ってきました。 午前は研究内容の紹介、午後はキャリア支援講演会というイベントです。

宮崎大学先導的ITセミナー
宮崎大学キャリア支援講演会(伊藤の講演資料)
宮崎大学キャリア支援講演会(パンフレット)

ご招待いただいた宮崎大学の関係者の皆様に、この場を借りて深くお礼を申し上げます。 個人的なことではございますが、私はいままで宮崎県だけは足を踏み入れたことがなく、この出張をもって47都道府県を制覇したことになります。重ねてお礼を申し上げます。

以前にCAE懇話会という会合のナイトサイエンスセッションでトークをさせて頂いたことがあるのですが、その報告記事が大変素晴らしいので、勝手ながらこちらにも掲載させていただきます。

関東CAE懇話会 ナイトサイエンスに関わって


2016/11/26

学生の表彰が2ヶ所で相次ぎましたので、ここで報告いたします。

NICOGRAPH 2016 優秀論文賞
国際会議 IEEE BDVA ベストポスター賞


2016/09/29

今年の秋学期は他大学での講義や講演が相次ぎます。

日本大学文理学部にて マルチメディア情報処理 という半期科目を担当します。本務先での担当科目とほぼ内容が同じなので順調に担当できそうです。

中京大学理工系四半世紀記念レクチャーシリーズ にて講演者としてお招きいただきました。 他大学の25周年のイベントという重要な機会に講演者を務めさせて頂けることになり、心から光栄に思います。いい講演内容を用意できればと思います。

明治大学先端数理学部先端メディアサイエンス学科先端メディアサイエンス特別講義 にて講義を担当します。この学科には2013年の創立以来大変お世話になっていて何度も訪問していたのですが、とうとうこの学科で講義をさせてもらえる機会を得て非常に嬉しく思っています。


2016/09/24

今年から本学のAO入試が大幅にリニューアルとなり、セミナーに参加してそのレポートを提出することから入試が始まるというユニークな形式となりました。今年は情報科学科からは伊藤がコンピュータグラフィックスの体験実習という形でのセミナーを開講しました。こちらが AO入試プレゼミナールのパンフレットです。 受験者の中には、すでに何度も本学に足を運んでくれているリピーターの方々や、既に私のウェブをよく読んでいた方々もいたようです。またセミナーを受講したその日のうちにメールで質問をしてきた生徒さんもいました。嬉しい限りです。

そして今年は、 徽音祭(本学の学園祭) でも本格的な研究室出展をすることになりました。徽音祭実行委員会の方々からの直々の依頼で、従来よりも本格的な学術出展をしてほしい、とのことです。わざわざご指名をいただき大変光栄に思います。来客者の方々に情報科学の魅力を伝えられるよう頑張りたいと思います。

私はお茶大に就職して12年目になりますが、徽音祭に出演者として参加するのは7年目です。まさかこんなに高い頻度で学園祭にかかわる教授になるとは、思ってもみませんでした。


2016/07/29

学生の表彰が3件相次ぎましたので、ここにまとめさせていただきます。 いずれも光栄な賞ばかりで嬉しい限りです。 優秀な学生を多数抱えている立場に恵まれたことに対して責任を自覚し、今後も共著者として研究に邁進したいと考えています。

国際会議IV2016にてThe Best Paper Award
第27期可視化情報学会 学会賞(奨励賞)
情報処理学会第78回全国大会大会優秀賞

そして私自身にも嬉しいニュースがありました。 2014年に5週間ほどシドニーに滞在して2つのプロジェクトを立ち上げており、 その片方の成果が既にIEEE Computer Graphics & Applicationsという国際的な雑誌に掲載されていました。 この掲載内容を、今年10月開催のIEEE VISというトップ国際会議で講演させて頂けることになりました。 わがまま言って海外に短期滞在させていただいたことを心から感謝します。と同時に、お忙しい大学教員の皆さまへ、1カ月程度の短期滞在でもそこそこの成果になる場合があるのでぜひ行ってきてほしい、というメッセージとさせていただきます。


2016/07/16

本日オープンキャンパスが開催されました。私は 情報科学科紹介と研究室公開 を担当しました。 体験講義の教室では、資料が250部近く(ただし親御さんも含めての数字)配られたようです。

11年前に赴任した頃のオープンキャンパスといえば、理系の他学科が300人くらい集めているのに情報科学科への参加者は50人くらいで、計算機室(Macが50台)でこじんまりと模擬演習を実施していました。この光景をみて、やはり女子に情報科学は人気ないのだろうか…とか思ったものです。それに比べると時は変わったなぁという思いです。

もちろん、オープンキャンパスを通してお茶大に興味をもつ高校生が増えれば嬉しいですし、本来はそのために学科紹介や研究室公開を実施しています。 一方でそれとは別に、情報科学に興味をもつ高校生女子が増えることを期待しています。情報系への進学に興味をもつ高校生女子をこんなにたくさん集めるイベントはそう多くありません。非女子大の情報系学科に女子が増えることも一つの目標として、今後も高校生向けのイベントに取り組みたいと思います。


2016/06/13

情報科学の業界では、ドイツの郊外にあるダグスツールという街に、特定分野の世界的な研究者を1週間集めて濃密な会議を開くセミナーがあります。いままで私も何度か誘われていたのですが、なかなか参加できず、今回ようやく参加する機会を得ました。

参加した会議名は Immersive Analytics というもので、データ分析目的の情報可視化という技術に、インタラクション、バーチャルリアリティ、といった別の技術を組み合わせて、新しいデータ分析手法を確立しよう、というものです。
今回の会議の特色は、この週の出席者を中心とした40名の面々で世界的な教科書を作ろう、というものです。私もこれから、その一部を執筆することになりそうです。
Immersive Analytics という研究分野を表す単語自体がここ1,2年の造語であり、その定義もまとまってなければ、何の役に立つのかも誰もわかりません。しかしそれでも世界的な人達が「ああでもない」「こうでもない」と言いながら議論を続けて世界を動かしています。
研究の初期段階の学会発表に対して「それは何の役に立つのか」などと質問される光景はよくありますが、世界的に有名な人達だってそこに答えがなくても研究を推進することがある、ということが非常によくわかりました。


2016/04/13

研究室の毎週のゼミの中で、学生には定期的に研究の進捗を報告してもらっています。 新学期は当然のように休み期間中の進捗を報告してもらっているのですが、それに先立ち、進捗報告の定義を以下のように要約してメールしました。
※ほんの少しだけメールの文面を編集していますが文意は変わっていません。

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■ 単に進捗を話すだけでなく、今後の予定や課題を語るのも【必須】ですので忘れないで下さい。
■ 以下の内容は進捗に【含みます】ので、忘れずに報告内容に入れて下さい。
・学会発表報告、およびその質疑内容
・結果が出たことだけでなく、やったけど進展しなかったこと
・文献を調べて得られた知識
■ 以下の内容は進捗に【含みません】が、これらを報告内容の一部に加えることを【歓迎】します。 ただし、これしか内容がない、ということがないようにして下さい。
・研究以外の場(授業、インターンシップ、アルバイト等)で得たスキルや知識
・学会発表先での研究以外の各種体験
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こんな要約を書かなくても学生たちは日頃から上記の内容をちゃんと報告してくれているのですが、それでも進捗報告内容を以下のように定義づけることには一定の効果があるのか、この2週間のゼミは大変面白く、私にとっても勉強になるものでした。


2016/03/22

私達の研究分野では、3月は学生表彰がたくさん出るシーズンです。今年も以下の学会にて学生表彰をいくつか頂きました。ありがとうございました。
DEIM2016
映像表現・芸術科学フォーラム
情報処理学会第78回全国大会

「逆求人」をはじめとする斬新な採用活動を展開するジースタイラス社の 注目インタビュー の中で、伊藤研究室の学生の事例が紹介されています。このようなインタビューの中で身近な事例が紹介されているのは非常に光栄な限りです。 そして近日中に、このインタビュー特集に私も紹介されます。先日インタビューを受けてまいりました。どのような記事に仕上がるか楽しみです。


2016/01/21

今週はドイツ出張で3つの大学を訪問しています。今日はその2校目のシュトットガルト大学で1時間程度の講演をさせていただきました。
ところで他大学のある先生が、大学教員たるもの、海外出張したら近くの知人の大学を訪問して講演させてもらうくらい常識だ、という強気なことをおっしゃっていました。そういえば私は最近どこの大学で講演させてもらっていただろう…ということで、1時間以上のセミナー形式となっていたものを思い出してメモ書きしてみました。

カーネギーメロン大学(2007年10月)/カリフォルニア大学デービス校(2008年10月)
テキサス大学ダラス校(2010年10月)/KAIST(2010年11月)
シドニー大学(2013年11月、2014年8月)/パリ・サクレ大学(2014年2月)
スウォンジー大学(2015年7月)/シュトットガルト大学(2016年1月)


他にもあるはずですが思い出せません。こういう経歴もちゃんと記録しておくべきですね…。思い出したら追加します。
一方で最近は「海外出張のついでに日程を延長して大学を訪問して…」ということもままならないくらい予定が詰まっていることも多く、大学訪問の機会自体が増えないのが残念なところです。


2015/11/27

自作曲のうち何曲か をウェブに載せました。 この楽曲自体は業務に直接関係ないですが、コンピュータ・ミュージックを授業内容や学生研究の一部にしていますので、このように楽曲をウェブで紹介する経験も何らかの業務の参考になるのではと期待しています。


2015/10/07

共同研究でお世話になっている(株)資生堂様が以下のイベントを開催されます。

「LINK OF LIFE さわる。ふれる。美の大実験室展」
http://www.shiseidogroup.jp/link/

拙研究室がこのイベントに協力団体として関わらせていただいています。 具体的には入力画像に対応して自動加工された音楽を鳴らすソフトウェアを開発しています。 10月23日から28日まで資生堂銀座ビルで開催しています。 ぜひお越しいただければ幸いです。


2015/09/21

学会にはポスターセッションといって、各自が大きな紙に研究内容を印刷してパネルに貼って発表する時間があります。しかし必ずしも大きな紙(日本だとA0版の縦長が多い)を用意できるとは限りません。例えばA4版の紙を10枚くらいパネルに貼る、なんてこともあります。登壇発表用のスライドを10枚くらいそのまま貼ることもあります。拙研究室でも先日、学生の何人かがA4版の紙を数枚貼っての発表をしたのですが、これを今回の話題にしたいと思います。

7月に研究集会があったときの、学生達のパネルへの典型的な貼り付けパターンです。
ある学生とは「A4版の16枚がA0版と同じ面積」という議論をしました。なんとも理系的(?)な議論です。ところがパネルが細長いとA4の紙を横方向に3枚しか貼れなくなり、結果として上図(左)のように15枚しか貼れないことが起こったりします。面積さえ合えばいいというものではないようです。
ある学生は上図(中)のように「最も重要な3枚だけ」を選んで持参してきました。大きなパネルにA4の紙がポツンと3枚だけ貼ってありますが、むしろこの「ポツン」とした見かけが注目を集めたりします。ちなみにこの学生は「たくさんの写真の中から何枚かを厳選する方法」を研究しているのですが、写真より先にスライドを厳選する機会が来てしまったようです。
ある学生は処理の分岐に沿って枝分かれするようにA4版の紙を配置しました。上図(右)がそのイメージ図ですが、まるでパネルがフローチャートのようです。私も研究職に就いて20年以上になりますが、この発想には感心しました。

私自身は「A4の紙を10枚くらい貼り付ける」という形でポスター発表をする機会はほとんどないのですが、もしその機会が回ってきたら、現場に着いてからでもできる姑息な手段として紙を長方形でない形状に切ろうか思います。単に目立ちたいだけですが…。下図(左)がそのイメージです。
いまよりもアナログな方法での発表資料制作が多かった時代には、色画用紙を使ったポスターなんてのもあったように思います。下図(右)がそのイメージです。私の活動範囲ではこういうデザインは最近見かけません。発表資料がデジタル化して便利になった反面、あまり見かけなくなった表現手段の一種といえるかもしれません。


2015/08/27

学生の表彰が4件相次ぎましたので、ここにまとめさせていただきます。 いずれも光栄な賞ばかりで嬉しい限りです。 優秀な学生を多数抱えている立場に恵まれたことに対して責任を自覚し、今後も共著者として研究に邁進したいと考えています。

国際会議 VINCI2015 にて Best Poster Award
国際会議IV2015にてThe Best Paper Award
第26期可視化情報学会 学会賞(技術賞)
情報処理学会第77回全国大会大会奨励賞


2015/06/22

多次元データ可視化の代表的手法である 平行座標法 (Parallel Coordinate Plot) で世界的に有名な Alfred Inselberg 先生によるセミナーを以下の日程で開催 いたします。ご興味のある方はご自由にご参加下さい。
内容的には、最初の1時間で多次元データ可視化の初歩的なセミナーを実施し、 後半の2時間で最近のトピックを紹介したり、また参加者の手持ちのデータを 可視化する実現を見せたり、という方向になる予定です。

日時 7月3日(金) 15-18時
場所 お茶の水女子大学 共通棟3号館408号室 (地図)

Visualization and Data Mining for High Dimensional Data
A dataset with M items has 2^M subsets anyone of which may be the one satisfying our objectives. With a good data display and interactivity our fantastic pattern-recognition can cut great swaths searching through this combinatorial explosion unlocking surprising insights. That is the core reason for data visualization. With parallel coordinates the search for relations in multivariate data is transformed into a 2-D pattern recognition problem. The knowledge discovery process is illustrated on several real multidimensional datasets. There is also a geometric classification algorithm with low computational complexity providing the classification rule explicitly and visually. The minimal set of variables required to state the rule, features, is found and ordered by their predictive value. A complex system is modeled as a hypersurface enabling interactive exploration of its functions, sensitivities, trade-offs, impact of constraints and more. An overview of the methodology provides foundational understanding; learning the patterns corresponding to various multivariate relations. These patterns are robust in the presence of errors and that is good news for the applications. The parallel coordinates methodology has been applied to collision avoidance and conflict resolution algorithms for air traffic control (3 USA patents), computer vision (USA patent), data mining (USA patent) and elsewhere.


2015/04/12

3月に学生の学会発表が多数あったのですが、表彰も多数ありましたので、まとめて報告します。
DEIM2015
映像表現・芸術科学フォーラム
情報処理学会第77回全国大会

今月は IEEE Pacific Visualization 2015 という国際会議に参加してきます。この国際会議の1日目の VAST というワークショップで講演してきます。また別の日には座長を務めてまいります。 VAST は発表者全員が主催者からの依頼によって選ばれるもので、広い意味ではinvited talkになるかと思うのですが、私はなぜか3年連続でお呼び頂いています。この光栄な機会に感謝して、有意義な議論をしてきたいと思います。

NII Shonan meeting Immersive Analytics という会議を提案していたのですが、このたび採択されました。2016年2月に開催されます。私もOrganizerとして運営側に携わる予定です。新しい国際的な研究者コミュニティを形成する機会として、期待しています。


2015/02/19

卒業研究と修士論文の発表会が終わり、新しい3年生の配属が決まりました。 今年も5名の新しいメンバーを迎える ことになりました。 この時期は新しいメンバーと新しい研究テーマについて議論をする時期で、大学教員として特に楽しい時期でもあります。拙研究室は国立大学としては異例なほど人数が多くて、学生一人一人と議論をする時間を十分につくれなくていつも申し訳ないと思うのですが、この時期こそいい議論をできたらと思っています。

ところで左の写真は、卒業研究の発表会の2時間前の、伊藤研究室の学生室の風景です。 なぜ発表会の最終準備をしている時間に、あえて教員が入室禁止なのか、想像できますでしょうか?

勤務先学科の卒業研究発表会では、全員の発表が終わると4年生がメッセージビデオを流すというイベントがありまして(他大学から見学に来られるとカルチャーショックを受けるそうですが)、ここ数年は拙研究室がメッセージビデオの編集を担当しています。 それを事前に教員に見られないように、ということで入室禁止になったのでした。
「卒業研究発表の直前は、このメッセージビデオがあるために、卒業研究どころじゃない」というのが、拙研究室のここ数年の恒例だったりするわけです。

というわけで、この貼り紙、私の指導がいたらなくて締め出されたというわけではありません(たぶん)。


2015/02/02

この週末に勤務先研究室の10周年記念パーティーがありました。 歴代の卒業生・現役生の約3/4が集まりました。 欠席者の大半が遠方に住んでいる人ということを考えると、同窓会としては驚異的な、素晴らしい出席率だと思います。 出席してくれた関係者の皆さん、および完璧な企画を組んでくれた幹事の皆さんに、心から御礼を申し上げます。
写真上段は私がいただいた花束と記念品です。記念品は集合写真の入った写真立てで、わざわざパーティーの前半に集合写真を撮って、その写真をプリントして渡してくれました。 写真下段は出席者全員に配られたお土産(KitKat)とアルバムです。アルバムの中身も非常によく編集されているのですが、ここでは割愛します。



パーティーでは何人かのスピーチがあったのですが、その中で1期生のスピーチの

「学生のうちは尖っていなさい、先生とぶつかりなさい、好きなようにやれるのは学生の特権です。」

という内容が印象に残りました。 卒業生の言葉は時として教員の言葉より重みがある、と感じた一幕でした。


2015/01/29

いまさらの報告になりますが、2014年11月から2年間、 芸術科学会 という小規模な学会の会長の大役を仰せつかっています。 学会名こそ仰々しいですが、実体は主にデジタル作品およびそれに資する諸技術を扱った学会です。 会長といえば日本では最年長の経験者が就く役職だと思い込んでいたので、46歳にして任命されるとは自分でも驚きですが、いい勉強の機会だと思って会長の任務に取り組みたいと思います。

この1月には NII Shonan meeting on Big Graph Drawing というクローズドな会議のOrganizerとして、この研究分野において世界を代表する研究者の方々を迎える役を務めてまいりました。

また、この8月にはVINCIという国際会議のGeneral Chair(大会委員長)を務めます。 今年は学外において長のつく仕事が目白押しです。この経験を自分のキャリアに活かせればと思うものです。


2015/01/11

勤務先大学には「ピアノ班」という同好会があります。そのOGの方々によるサロンコンサート(1月4日)に参加させていただきました。 コンサートといっても一般に公開するものではなく、関係者だけの会合ではありましたが、それでも充実した時間を過ごさせていただきました。

ピアノ奏者が数人、あとは別の楽器(主にバイオリン)を演奏する人が数人、という参加者層で、ピアノソロ、ピアノ伴奏による独奏曲、5人程度の合奏、などがありました。私はウィンドシンセサイザーという笛のような電子楽器を演奏しました。写真の右端にアンプがポツンと置いてあります。電子楽器での参加は私一人なので、アンプは自分で持参しました。

勤務先OGの方々が、こういう形で仕事や家事の合間に演奏を楽しむために多数集まってくる、というのは素晴らしいことだと思います。ライフワークバランスという観点からも、ぜひ続けて欲しいものだと思いますし、私も機会があればまた参加したいと思います。

ちなみに私が演奏に加わった曲は以下の通りです。カッコ内の楽器名はウィンドシンセサイザーで用いた音色です。
モーツァルト「フィガロの結婚」序曲(チェロ)
ドビュッシー「小組曲」より「小舟にて」(フルート)
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」(ファゴット)

もう何年もクラシック音楽を演奏していなかったせいか、そもそも楽譜通りに演奏することが自分には難しくて愕然としましたが、それでもなんとか楽しく演奏できたかと思います。
面白いことに、音色を変えると自然のうちに自分の奏法が変わってきます。フルートの音色とファゴットの音色では何も意識してなくてもビブラートのかけ方が変わってきますし、チェロの音色では弦楽器らしい「ぶうぉーん」という響きを出そうとして、無意識のうちに管楽器らしくない息の使い方になっています。面白いので、もっと多種多様な音色でクラシック音楽に挑戦してみたいと思います。

蛇足ですが会場は埼玉県の川口駅前「LILIA」のスタジオでした。私は川口市出身で、20代の頃にこのLILIAの音楽ホールでアマチュア指揮者をやったことがあります。しかも偶然なことに、自分が指揮した曲の中にドビュッシーの「小組曲」がありました。 それから20年以上経って、まさか自分が女子大の教授になって、同じ曲を同じ会場で同僚のピアノで演奏する、なんてことは全く想像しておりませんでした。 自分でも驚くべき縁だと思います。本当に懐かしい思いで、スタジオに足を運びました。


2014/10/24

1ヶ月強のシドニー出張から帰国するや否や、ありがたいことに2ヶ月にわたっていろんな場所での登壇にお呼び頂いております。この2ヶ月の登壇は特にバラエティに富んでいるので、その内容を列挙いたします。バラエティに富んでいるということは、裏を返せば同じ話題を話せばいいというものではないので、準備にはそれなりに時間がかかっていますが、勉強や調査のためのいい機会であるとも言えます。

9月21日 日本医療安全学会にて(医療を含む一般的な)リスク情報の可視化に関する1時間の講演。
9月22日 日本学術会議公開シンポジウム「可視化」にてパネルディスカッション。
10月8日 画像電子学会が主催するIEVCという会議にて過去の研究に関する発表2件。
10月14日 某企業にてビジュアルアプリケーションのサービス展開を意識した研究事例に関する1時間の講演。
10月30日 サイエンティフィックシステム研究会にて「女子大学のICT研究教育事例」に関する1時間の講演。
11月2日 芸術科学会中部支部設立総会にて1時間の講演。
11月8日 徽音祭(勤務先大学の学園祭)で1時間の研究紹介。
11月20日 情報処理学会 音楽情報科学研究会・デジタルコンテンツクリエーション研究会にて、デジタルコンテンツに関する共同企画での登壇。
11月21日 Webインテリジェンスとインタラクション研究会にて徹底討論「大学教員から見た『企業と大学の蜜月な関係』とは?」に登壇。
11月23日 機械学会計算力学講演会にて発表2件。


2014/08/09

8月6日から9月11日まで、シドニー大学訪問を中心とする長めの出張に出かけています。 滞在の様子を簡単に こちら にまとめていますので、ご興味がありましたらご一読頂ければ幸いです。


2014/07/10

企業とのコラボレーションとして私が絡んだ企画が、ウェブ上の記事になっていますので紹介します。
女子大生限定ハッカソン!? International Women's Hackathon 2014イベントレポート
クラウドでも女子会?! 日本IBM「Bluemix女子会」レポート


2014/06/12

たまには仕事に全く関係ないことを書きます。 6月7日の土曜日に、中学・高校時代の友人とライブハウスで演奏をしてきました。

この音楽ユニットでは主に私が趣味で作曲した曲を演奏していますが、 その多くは遠い昔(高校生や大学生の頃を含む)に書いた曲です。 こういう曲を演奏していると、曲を作った当時の経緯が色々と思い出されます。

ところで最近、主に高齢者への心理療法として、本人の昔の楽しかった思い出を想起させる、 という方法がとられる機会が増えているそうです。 裏を返せば、本人の過去を想起できる材料がたくさん記録されているほど、 精神的に安定した老後を送れる方法がある、という仮説が成立します。

私はたまたま、作曲や演奏を趣味としてきたことで、過去を想起する機会に恵まれてきました。 そのような趣味がなくても現代では、デジタルカメラをはじめとして、色褪せない方法で日常生活を記録する道具に恵まれています。 学生たちがマメに写真撮影などで日常生活を記録するのは、本人の今後のためにも望ましいことなのかもしれません。 私の本業はあくまでも学生に勉強/研究をさせることですが、それと同時に、たくさんの思い出を記録できる場所や機会を大学内に提供することにも協力していきたい、と思ったものです。


2014/05/20

海外出張に行くたびに現金をつくり、それを帰国後も日本円に戻さずに(なかば記念に)引き出しに保管しておくのがクセになってしまいまして、いまでは15種類の外貨が引き出しに同居しており、むしろいろんな通貨を眺めるのが趣味と化しています。

アメリカ・ドル、カナダ・ドル、メキシコ・リラ、韓国・ウォン、中国・元、
台湾・ドル、香港・ドル、タイ・バーツ、シンガポール・ドル、オーストラリア・ドル、
ニュージーランド・ドル、ユーロ、スウェーデン・クローネ、スイス・フラン、イギリス・ポンド

研究職を引退したら紙幣は全て日本円に戻し、硬貨はどこかに寄付することになるのでしょうね…。


2014/05/19

今年もありがたいことに、多くの企業の方々から学生参加のイベント等にお誘いをいただいています。 情報科学産業には女子が少ないこともあって、本学には本当に多くのお誘いがあります。 その中でも業界を代表するような優良企業は、学生の立場にたってイベントを計画しているのがよく伝わってきます。

最近も、ある企業が主催となって本学でハッカソンを開催したことがありますが、その実施期間は金曜の夕方から日曜の2日強でした。 学生の参加が本質なのは金曜17時半からの懇親会で、ここで面識をつくって自主的にチームを形成するのが活動の第一歩というスケジュールでした。
当該企業の担当者は事前に本学を訪問し、スケジュールについて打合せた結果として、集合時刻こそ15時半とするけど、実際には夕方からの参加でも差し支えないようにしよう、ということになりました。 そして現に、参加学生の多くは、金曜の講義やゼミを終えてから会場に駆けつけてくれました。

また別の企業は、金曜の夕方に数週間の講義を開いて、その後に選考を経て夏休みに実習、という新しいスタイルのインターンシップを企画しています。
その人事担当者はわざわざ本学に来て説明会を開き、学生の日程的都合をヒアリングした結果として、講義の開始時刻を17時に設定しました(もともとは16時開始を想定していたようです)。 学生の中には、「開始時刻が17時になるのなら履修科目に影響がないので応募したい、16時だったら断念していた。」という人もいました。

学生のスケジュールをきちんとヒアリングした上で実施日時を金曜の夕方に設定する企業と、なんとなく「平日でも学生は普通に集まるでしょう」といって平日にイベントを企画する企業と、どちらが最終的に真剣に学生を集められるでしょうか。 本学の学生の反応を見る限り、私の中ではすでに答えは明らかなのですが、引き続き観察したいと思います。
※あくまでも「山手線の内側にキャンパスがある大学の一教員の個人的感想」です。この手のイベントの多くが開催される東京都心部から地理的に遠い人には、また別の感想があるだろうことは理解します。


2014/04/11

NII(国立情報科学研究所)が企画するShonan meetingという会議があります。 特定の研究課題に対して世界の有名な研究者を多数集めて、4日間にわたって合宿形式で濃密な議論を行う、というものです。
このたび初めて、 Computer Visualization - Concepts and Challenges という研究課題の会議に呼んで頂き、この分野のトップ研究者の方々と親交を深めてきました。
ところが今度は縁あって、Shonan meetingのオーガナイザ(企画者)として、世界のトップ研究者を集める側の仕事をすることになりました。 Big Graph Drawing: Metrics and Methods という課題で企画しております。 こういう機会を頂いたことに深く感謝し、日本の当該分野の一流研究者に代わって運営に携わりたいと思っています。

3月に学生がいくつかの表彰をいただきました。
まず私がOrganizing Chair(組織委員長)を務めた IEEE Pacific Visualizationでは、例年より多く3件のベストポスター賞を企画したのですが、そのうち 2件のベストポスター賞を本学でいただきました。
また、拙研究室の学部生が、 情報処理大会全国大会 映像情報・芸術科学フォーラム という数日間のイベントで2件とも表彰をいただいてきました。


2014/03/03

拙研究室で学部卒業研究に従事した平野未来さんに、 本学で講演をお願いしました。 平野さんは東京大学大学院在学中から起業を経験し、現在ではベトナムで起業したCinnamonという会社のCEOを務め、メディアにも多くの機会で紹介されています。 (記事1) (記事2)
本講演でも、とても多くの刺激的な言葉があったのですが、その中でも特に印象的だった点について、備忘録を兼ねて書かせて頂きます。

本講演で平野さんがアピールされていた点は以下の3点。

  • Find your strength.
    「突出した実力を有するためには1万時間の訓練が必要」という有名な言葉がある。そのような訓練が必要な分野で自分が突出するのは本当に大変。そこまでして戦わなくても自分が強みを発揮できる領域を見つけることが、自分を有利にする場合もある。
  • Acquire persuading skill.
    社会進出には人を説得する力が本当に必要。日本の女性にはその力が足りない傾向がある。一つの原因として、一般的に女性は男性に比べると子供の頃から人を口説く経験が少ない、という点が影響しているのではなかろうか。
  • Find a country where you win.
    先進国は既に伸びしろが小さくなっているので、残り少ないパイを奪い合うことになりやすい。それよりは成長国のほうが勝率が高い。日本だって経済的に成功した財閥やメーカーの多くは明治や戦後の成長期に生まれている。そして成長国においては、現時点でまだ経済的に余裕がないことから、初期投資のコストのかからない分野は参入しやすい。自分の業界は初期投資がさほど大きくないので成長国でのビジネスに有利であった。ベトナムを企業先に選んだ理由は、ベトナムに行った時に日本人を歓迎するムードを強く感じたからである。
会場からの質問への回答で主なものは以下のとおり。
  • お茶大に入学してよかった点はなにか。
    伝統校にありがちな学閥にとらわれずに行動できる。真面目に見られることが多い。女性らしい研究テーマが多い。
  • 海外から日本はどう見られているように感じるか。
    特にアジアではリスペクトされているように感じる。
  • 女性に生まれて自分のキャリアにおいてどうだったか。
    女性だからこそ助けてもらったことが多い。また海外で同じキャリアを歩む日本人女性が珍しいので特別視してもらえることもある。総じて得だった。ただし、男性が多数派の社会であるがゆえに、男性しか呼ばれない集会が時々あった。

その他の主なメッセージは以下のとおり。

  • 学生にはリスクが小さくて時間がある。この恵まれた状態を自覚すべき。
  • 海外に一人旅して、多様な雰囲気や価値観を実感せよ。
  • 人を説得できるようになるためのサブスキルとして、自分をどう見せるかを考えよ。
  • 事業を成功させるにはタイミングが重要。株や不動産への投資の経験がそのタイミングへの勘を鍛えるのに最適。

その他、平野さん自身のキャリアや経験、起業してのビジネスについて、多数の質問があった。
私の雑感として、平野さんの学部時代からの多様な経験の一つ一つが、全て現在の海外起業につながっていると感じた。その裏には

  • 多様な経験の機会を得るための情報収集力や交友関係
  • 個々の経験が自分の役に立つかを判断するための選択力や批判力

が非常に重要であり、単に与えられた機会を優等生的に経験するだけでは不十分であるように感じた。 我々教員には、このように自律行動力のある若者に対しては、過度に拘束せずに、横目で見守りながらも自由に実力をつけさせる、というような許容力のある体制が必要であると強く感じた。


2014/01/04

性格的にいって年始に「今年の目標」を考えるようなガラではないのですが、今年は珍しく少し考えてみました。

研究への貪欲な行動。
大学教員の研究活動へのスタンスとして、「自分で手を動かして研究を続けろ」という人と「研究自体よりマネジメントを優先せよ」という人がいます。 どちらも一理ある意見ですが、私はここ数年、どちらかといえば後者の立場にたって、学生研究や共同研究の黒子に徹することが多かったように思います。 自分でもそのような仕事の進め方にこだわりをもっていたのですが、それを評価しない人も結構いるようです。
実際問題として、自分で手を動かしている人のほうが指導やマネジメントにも説得力がある、と思うことが多々あります。また、職業研究者が(発表を指導学生に任せきりにせずに)自分でも登壇してメッセージを発していかないと伝わないこともあるように思います。
そこで今年はもう少し、自分で手を動かしたことを登壇発表等の形で積極的に示す研究を作ってもいいのでは、と考えています。
※しかし一方で、「教員の研究成果であっても学生に発表させればいいじゃないか。お前の発表なんていいから女子学生をどんどん学会に連れて来い」みたいな露骨なことを言う人も時々います。いろんな考え方があるものです。

専門外の学生にも支持される講義。
私の持論として、大学が社会にサポートされるためには、一人でも多くの人に「大学のおかげでいい教育を受けた」という思いを共有してもらう必要があると考えています。
そしてそのために自分ができることといえば、学科といった小さい単位にとどまらずに、(甚だ微力ではありますが)大学全体の学生に対して印象に残る講義をすること、であろうと考えます。 たまたま私は、全学共通科目を2科目担当しており、専門外の学生にも講義をする機会が比較的多い立場にあります。 その観点から、いろんな学部の学生から名物教員と言われるような講義を展開できることを目標にしたい、と考えます。

管理職としての役割。
私の世代と比べて、30歳前後の若手研究者の境遇は本当に大変だと思います。 ただでさえ人件費の削減によってポストが減っている上に、業務も増える一方で研究の時間を作るのが大変な状況にあります。
私は学内でも学会でも「長」のつく仕事をいくつか担っています。 その責務として、自分がリードする行事や組織を成功させるだけでなく、むしろ若手研究者の負担を増やさないようにして、若手研究者の研究の時間を確保できるようなフレームワークをどうやって作るか、ということを常に考えないといけないと痛感します。
また私は指導学生以外にも、何人かの若手研究者と共同で研究をしています。若手研究者の成果を最大化するために、どのような体制をつくり、どのような手順で研究を進めるのが最適であるかを常に考えて研究を進めたい、と考えます。

本務以外の日常生活のさらなる充実。
研究者の日常生活に対して、「一瞬の時を惜しんで研究に邁進せよ」という人もいれば、「研究以外の日常生活も充実していないと健全な研究者ではない」という人もいます。 私は(前者を否定する気はありませんが)どちらかといえば後者を支持します。
その立場から今年も引き続き、本務以外の面での充実(ライブに出る、旅行に行く、など)を心がけ、本務とそれ以外を両立できる方法があることを学生や若手研究者に示し続けたい、と考えます。
※その点はわざわざ目標にしなくても毎年十分やってるだろ、と言われそうですが…


2013/12/18

いくつか報告です。

講談社の 理系女子応援マガジンRikejoの25号にて、伊藤研究室がマンガで紹介されました。 このような形で拙研究室が紹介されることを非常にありがたく思います。

以下の学会で学生が表彰されましたので、あわせてお知らせいたします。
Cyberworlds 2013 ベストポスター賞

年明けには私が関係しているいくつかの国際会議があります。
3月4〜7日には IEEE Pacific Visualization Symposium 2014 という国際会議が開催されます。私はOrganizing Chair(組織委員長)を担当しており、現時点では参加登録の仕事に追われています。 (追記:同時開催されるIEEE Pacific VAST (Visual Analytics Science and Technology) というワークショップで招待講演も担当することになりました。)
3月25〜28日には ACM Symposium on Applied Computing という国際会議が開催されます。 私は当該会議にて、2012年から Multimedia Visualization Track のトラック委員長の一人を担当しています。 また今年は拙研究室の論文も当トラックに1本採録されているため発表予定です。

来年も引き続き、よろしくお願いいたします。


2013/11/11

事前にこのページでも宣伝しましたが、今年は徽音祭(お茶の水女子大学の学園祭)にて2箇所に出演させて頂きました。

1つ目はゼミ発表です。「女性のためのビジュアル情報科学」というタイトルの登壇発表で、主に研究室の成果を紹介しました。
2つ目は研究室学生が主催するノンアルコールカクテルバーでの演奏です。ウィンドシンセサイザーという、笛のような電子楽器を使って、「いつか王子様が」「Over the Rainbow」「枯葉」「Isn't She Lovely」の4曲をジャズ風に演奏しました。
参考までに写真を載せておきます。

ところで、ゼミ発表にとても熱心な高校生が来ました。 話によると、志望校選びの一環でウェブで見つけた拙研究室の論文を読み漁り、 僕がゼミ発表することもウェブで見つけて地方から見に来たようです。 わざわざゼミ発表の前に研究室主催のカクテルバーまで駆けつけて、ゼミ発表が終わったら個人的に質問する時間を頂けますかと研究室学生に質問されたそうです。 そしてゼミ発表が終わってから、とても熱心に「こんな研究はできますか」「この先輩はどのようにこの研究を思いついてどのように進めたのですが」と質問してきました。それが終わって1時間くらいして、どうしても他にも質問したいことがあったようで、わざわざもう一度カクテルバーにいらっしゃいました。
昔から偏差値偏重の大学選びが問題になってますが、今やここまでできる時代なんですよね。本当に感心しました。彼女が拙学科に入学するのを期待しています。


2013/11/1

この2ヶ月の間に、私がインターネットに載せた資料が2つほど、非常に多くの方に閲覧されたようですので、報告いたします。

1つ目は 「査読の仕組み」に関するスライド で、もともとは2006年に「ビジュアル情報処理研究合宿」という集会で発表したものです。 いまさらと思いながらSlideShareというサイトに載せたところ、あっという間に16,000回以上のアクセスにのぼり、Twitterや「はてなブックマーク」でも話題になりました。 コメントとしては「よくまとまっている」という前向きなものが多かったように思います。


2つ目は 「Javaプログラミング入門」という無料電子書籍で、もともとは2007年から5年間にわたって大学の非常勤講師として実習科目に使った資料です。 お茶の水女子大学のE-bookサービスの関係者の方々のご尽力でウェブに掲載したところ、これもあっという間に6000回前後のダウンロード、そして「はてなブックマーク」で700回近いエントリーに達しています。 コメントとしては「無料なのがすごい」という声が多かった他、「まえがき」に共感された方が多かったようです。

両者とも、本人はこんなにインターネット上で注目されるとは全く想像しておらず、このような形で多くの人に閲覧されていることに驚いています。 とはいうものの、大学教員もいまや、勤務先大学の学生だけでなく、インターネットを通して広くたくさんの人にその専門性を配信することを期待されている時代ですので、このような形で注目されることを非常に光栄に思う次第です。


2013/08/02

今年も 徽音祭(勤務先大学の学園祭)にお世話になります。
09年にクイズ大会出演者、10〜12年に模擬授業講師として参加しましたが、13年はゼミ発表に出動要請されました。以下のタイトルで研究室を紹介します。

「女性のためのビジュアル情報科学」
お茶の水女子大学情報科学科伊藤研究室の研究内容のうち、主に女性をターゲットにした研究成果のいくつかを発表する。例として、以下のような研究を紹介する。
・女性向けファッション検索支援システム
・肌状態や装いの印象評価アンケート
・美肌化・アイコン化などのための顔写真加工

本学の学園祭には受験生(とその親御さん)が本当にたくさんいらっしゃるので、このような形で教育研究の内容を紹介する機会を頂けるのはありがたい限りです。徽音祭実行委員会の皆さまには毎年感謝しています。

ところで、このゼミ発表企画に出動要請される前から、拙研究室の大学院生は「ノンアルコールカクテルバー」を出店するつもりだったのですが、そこで私がBGMを1日数回演奏することになりました。
この調子だと、ゼミ発表の会場で「質問のある方はカクテルバーへどうぞ」などという不自然な客引きをすることになるかもしれません。なんともはや…。 当日どのような状況になるか私も楽しみです。場合によっては学生並みに忙しくなるかもしれないかと…。

今年の徽音祭は11月9,10日です。ご来場の方はぜひお声をおかけください。 ただし私は11月9日は学会出張のため、11月10日のみの参加となります。


2013/07/31

ロンドンに出張して、またしても(笑いごとで済む程度の)トラブルに多数出くわしてきました。

  • 前夜に甥と遊んで顔どうしが激突してメガネを破損。成田空港8時開店のメガネ屋で30分で替えメガネを作る。10:50のフライトには余裕をもって間に合う。
  • 宿泊予約の担当者の手違いで、学会会場から1時間離れた場所に宿泊することになる。しかし学会会場近辺は狭くて古くて空調のないホテルが多いそうで(私の経験からもその通り)。むしろ郊外の好条件なホテルを激安で確保してよかったのかもしれない。
  • 学会会場で2日目の昼に建物全体にわたる停電があり、ロックアウト。2日目午後の発表の多くを3日目に組み込むことで、3日目の進行が大きく混乱する。
  • 大事をもって3時間前にヒースロー空港に着いたら、予定の便の機種が100人乗り?の小さい機種になったので乗れなくなった、と言われた。ブッキング処理窓口で長蛇の列に並んだ末に、別の航空会社に振り替えてもらい、ターミナルも移動して、やっとの思い出予定通りの20日午前の帰国に。普通に2時間前到着だったら非直行便か翌日便になってたはず。早めに行動してよかったという事例。


2013/06/20

日刊工業新聞の「キラリ研究開発」という連載漫画の119回目、120回目で、お茶大伊藤研究室を紹介していただきましたが、掲載1ヶ月を過ぎましたので解像度72dpi版を私のウェブに掲載できることになりました。 (以下のサムネイルをクリックすると閲覧できます。)
漫画を制作してくださった理系漫画家はやのん様、インタビューに来てくださった神奈川工科大学白井研究室の皆さま、どうもありがとうございました。

ところで拙研究室のドアの前には、この2回の漫画のコピーを、左右に並べてポスターパネルに入れて掲示しているのですが、ふと気がつきました。 このようにレイアウトすると、左から見る人と、右から見る人と、両方ともいるのではないでしょうか。 私自身でさえ、ある時は左から見るような気がしますし、ある時は右から見るような気がします。 実際のところ、どちらから読む人のほうが多いのでしょう。通行中にパネルを眺める人たちを観察してみたい気がします。


2013/06/09

最近3箇所で研究室学生の表彰がありましたのでリンクいたします。

DEIM 2013 学生プレゼンテーション賞

映像情報・芸術科学フォーラム 2013 企業賞

NICOGRAPH International 2013 ベストショートペーパー賞

また、芸術科学会という学会のオンライン会誌DiVAにも、拙研究室を漫画にした作品が掲載されています。ぜひご覧いただければと思います。

芸術科学会オンライン会誌 DiVA


2013/05/29

世間的には一般教養科目と言われている科目で、毎年コンスタントに120名くらいの履修者がいる科目を担当しています。
科目名は「コンピュータが創る色と音」といって、要するにコンピュータグラフィックスやコンピュータミュージックを中心とした情報メディア技術を平易に紹介する科目です。 自分が所属する理学部情報科学科の学生が最も多いですが、それ以外には理系・文系を問わず全ての学科から履修者がいます。
大きな大学に勤務されている方から見ると120名というのは大した数字に見えないかもしれませんが、本学で毎年120名といったら大学全体の4名に1名は履修している計算になります。

履修者の面々はどのようにして本科目を選んだのか、興味があったのでアンケートをとってみました。以下がその結果です。(複数回答可としました。)

58人:シラバスを読んで興味をもった
50人:コンピュータに関する初学者向けの科目を履修したかった
32人:音楽や美術を趣味や専攻にしているので参考にしたかった
30人:(理学部や情報科学科の学生で)自分の学部・学科の教員の科目を履修したかった
27人:「色・音・香」という系列に属する科目を1個でも多く履修したかった
24人:先輩や同級生に本科目を薦められた
17人:前期水曜1限の時間割を埋めたかった
3人:シラバス以外の何かで本科目の説明を読んで興味を持った
  (3人とも教職員が発行した学内資料だそうです)
8人:その他(具体的に説明して下さい)
  (1回目の授業に試しに出席したら面白かった/学園祭の模擬授業が好評だったので/志望研究分野に近いので/など)

私は大きな大学の出身で、全ての科目の評判や難易度を学生が自主的にまとめた書籍が大学の近所に売っていました。どの科目が面白いか、どの科目が単位を取りやすいか、といった口コミも必要以上に何でも耳に入りました。いまなら多くの大学で、その手の情報はウェブでも検索できます。 例えば私の非常勤先の科目 のように。

ところが学生いわく、現在の勤務先大学では、そのような講義科目情報は目にも耳にも滅多に入らない、とのこと。 少なくともそういう情報が勤務先大学において書籍になっているとは思えません。 ウェブ上の講義科目情報サイトを見ても、勤務先大学の講義科目情報は驚くほど投稿が少ないように見えます。 学生いわく、日常会話にもそのような話題はあまり出てこないとのことでした。

そのような状況の中で、口コミ等に頼らずに、興味や進路をベースにして自主的に科目を選んでいる学生が多いというのは、(少なくとも私自身の学生時代から比べたらはるかに)敬意を表するべき状況かもしれませんし、24人が本科目を薦められたという数字に感謝すべきかもしれません。


2013/05/15

日刊工業新聞の「キラリ研究開発」という連載漫画の119回目、120回目で、お茶大伊藤研究室を紹介していただけることになりました。以下にその告知版を紹介いたします。
漫画を制作してくださった理系漫画家はやのん様、インタビューに来てくださった神奈川工科大学白井研究室の皆さま、どうもありがとうございました。


5月11日から12日にかけて、本学理学部3号館において 「音学シンポジウム2013」 という音楽・音声・音響などの大きなシンポジウムを開催しました。 346人もの参加者にご来場いただき、おおいに盛り上がりました。
本学のような小規模な大学で、このような大きなイベントということで、 ご来場された皆さまには狭い思いをされて申し訳ございませんでしたが、 本当にたくさんの方にご来場をいただいたことを嬉しく思います。 この場をお借りして厚くお礼を申し上げます。


2013/05/03

いくつかのリンクを紹介します。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)様が研究開発されている デジタル/アナログ・ハイブリッド風洞システム「DAHWIN」 の完成披露会に出席して来ました。 拙研究室はDAHWINの研究開発の一部にて共同研究をさせていただいてました。 上記ページの「画像21」あたりが関係あります。 このような大々的な研究開発プロジェクトの一部に参加して勉強させていただいたことを非常にありがたく思う次第です。

科学技術政策研究所が出版する 科学技術動向 という雑誌にて、ビッグデータへの取り組みが紹介されています。 この中で「最大の技術ポイントを挙げるとしたら可視化ではないかと考えられる。」という一文があり、その例として図表4に拙研究室の数々の可視化結果が掲載されています。 このような形で拙研究室の事例が紹介されるのは、とてもありがたいことだと思います。

以前に早稲田大学でJavaプログラミングの非常勤講師をやっていましたが、私の演習資料が当科目の標準資料として使われるらしいことを聞き、当該科目の現況を検索してみたら こんなPDFファイル が上位に現れることに気がつきました。
早稲田大学の学生が自主的に、各科目の状況をヒアリングして書籍化しているものを、スキャンしてウェブに載せているものと思われます。 こんな情報が検索結果の上位にくるというのも、原理的にありえるのはわかっていても、それでも少し不思議な気がします。

拙研究室が毎年参加している ビジュアル情報処理研究合宿 の今年のウェブが、拙研究室のサーバで公開されることになりました。ウェブのデザインも拙研究室から選出された運営委員が担当しています。多彩な才能をもった学生には多彩な活躍の場がある、という意味ではいい時代になったと思います。


2013/05/01

Google Scholar で見る限り、ようやく私の論文のCitationが4桁になってくれたようです。 棒グラフを眺めてみると、私が大学に赴任したのが2005年で、それ以降のCitationが伸びています。この数字からは、(私の場合には)企業から大学に転職したおかげで論文著者としてのVisibilityが改善したように見えます。

ところが、私の論文をCitationが多い順にソートしたリストには、2005年以前に発表したもののほうが多いようです。これをあわせると、以下の2つの仮説も成立します。

・会社員時代の論文が大学転職以降も引用されている、ひいては会社員時代の研究は長期にわたって引用される息の長い(?)成果であった。
・大学に異動してから、論文の数が増えて引用数の総計も伸びたものの、個々の論文はインパクトの小さいものである。

考えさせられるのは後者のほうです。これが事実だとすると、大学に異動してからの私の研究は、小粒なものが増えて個々のインパクトは減っていることになります。 実際に現在、会社員の頃とは比べものにならないほど、多くの共同研究を同時に遂行し、多くの学生を同時に指導しているのですから、個々の研究のインパクトが小さくなるのは避けられない面があります。これが大学教員として正しい姿なのか、時々考えさせられることがあります。

とはいうものの、学生の学部卒業研究や修士論文の内容が拙研究室で多くの引用数を稼いでいる、という現実を前向きに考えたいと思います。 そのようなレベルの学部卒業研究や修士論文を発表するのは、私自身の学生時代から比べれば格段にレベルの高いものだと思いますし、現在においてもどこでも容易に実現できていることではないと思います。


2013/03/02

突然ですが、ここ3年間の海外でのエピソードをまとめて報告します。

2010年3月。 神戸→台湾→フランスという学会ワールドツアーの1カ所目の神戸にて、 国内学会の参加者の多くが、食中毒と思われる体調不良を訴える。 私は台湾に移動してから発症して一晩もだえ苦しむ。 その翌日は昼過ぎに台湾を出発、17時に成田到着、22時に再び成田を出発して翌朝4時にパリ到着、さらに乗り換えて朝8時にニースに着いて1日学会参加。というハードスケジュールだったがなんとか乗り切る。

2010年5月。 ローマからパリ経由で朝6時に成田着。そのまま荷物を持って大学に直行して10時半から講義…のはずが、荷物が出てこない。アナウンスによると、飛行機内でコンテナが引っかかって動かせなくなった、とのこと。機内で工事が始まってしまい、結局1時間半ほどベルトコンベアの前で待たされる。8時過ぎに荷物が出てきて、かろうじて講義に間に合う。

2011年1月。 フランスのブレストという街で、空港からホテルにタクシーで向かったらタクシーが迷子になる。20分くらい彷徨われてしまい、このまま怪しい場所に連れて行かれるのかと思った。

2011年8月。 スイスに観光に行き、パリで乗り換えてチューリッヒで荷物が届かない。単に遅延で来ないのかと思ったら、荷物だけがアメリカのアトランタに行ってしまったらしく、そのまま荷物は行方不明で最後まで出てこなかった。3ヶ月後の11月になってようやく航空会社が紛失を認め、保険で賠償となる。

2011年10月。 スーツケースを鍵をかけずに預けたら、運搬途中で勝手に鍵をかけられてしまった。鍵を持ち歩いていなかったので道中で鍵を破壊するはめに。(帰国後に修理することになったが、修理代は保険でカバーできた。)

2012年3月。 イタリアでレンタカーがエンジントラブルにあい、全く走らなくなる。通行中のイタリア人に頼んでレンタカー会社に電話してもらい、レンタカー会社が呼んだ運搬業者で自動車修理工場に連行される。整備士いわく「日本車が壊れることなんてあるのか。イタリア車は毎日壊れてるけどな。がっはっはっは。」一気にどうでもよくなった。(残念ながらこの件での一部出費は保険が適用されなかった。)

2012年10月。 アメリカへの便が大幅に遅れ、国内便への乗り換えに間に合わず。国内便の振り替えの人たちが大行列となり、1時間以上待って22時頃にようやく対応してもらい、国内便を振り替えてもらったところ、今度はその振り替え便が2時間遅れる始末。ホテルに着いたのは午前3時となった。

2013年2月。 ベッドメイキングの人が私のチェックアウト日を間違えたために、まだチェックアウトしてないのに私の荷物を全部没収してフロントに持ちだしてしまう。クロゼットにかけた衣類は黒いゴミ袋に投げ込まれる。歯磨きやボトルウォーターは捨てられてしまい、代金ホテル持ちとはいえ買いに行かされるはめに。


2013/02/05

今月から来月にかけて国際会議に2回出席します。
IEEE Pacific Visualization 2013 は可視化という研究分野に関してアジア・太平洋地区で開催される国際会議です。私は Pacifiv VAST という併設ワークショップにて招待講演をお引き受けしています。
ACM Symposium on Applied Computing は情報科学の応用に関する幅広い分野を網羅した会議で、私はその中の Multimedia and Visualization というトラックの委員長を担当しており、当日は座長も担当する予定です。
このような国際的な機会を頂けることを本当に光栄に思います。


2012/11/17

本学ではハロウィン前後になると多くの学生がそれらしい服装で登校します。 今年はTwitterやFacebookでもそれが配信されました。 僭越ながら私も 1枚写っています。 この時期の本学の雰囲気を感じ取って頂ければと思います。

今年も僭越ながら、11月11日に徽音祭(本学の学園祭)にて模擬授業を担当しました。 これで3年連続の依頼をいただいたのですが、一昨年や昨年の30人程度の来客から一転して、今年は80席くらいの教室が満席で、さらに立ち見も20人くらいいたのではないかと思います。 本当に多くの方にお越しいただき、さらに最後まで真剣に聴講していただき、深く感謝いたします。ご来場いただいた皆様の姿勢に気持ちを引き締める機会となりました。 特に受験生の皆さんや親御さんにおかれましては、この模擬授業が本学に関する参考になっていることを祈っています。

11月16,17日に開催されたNICOGRAPH 2012という研究集会にて、拙研究室の発表が 最優秀論文賞 を頂きました。 この研究は企業からの4年間にわたる受託研究に関するもので、地道な積み重ねがようやく形になったものと考えています。 情報科学のような進捗の速い分野では、ともすれば長年の積み重ねよりも、世界で最初に何かをやったという速報性が高く評価されがちですが、今回のような研究も評価される業界であってほしいものだと思います。


2012/9/2

拙研究室の共同研究先のひとつである宇宙航空研究開発機構(JAXA)様の 「ハイブリッド空洞」 が日本経済新聞のウェブに紹介されています。 ほんの一部とはいえプロジェクトに関わっている身分として、非常に嬉しく思います。

私が企業研究所での勤務を経験してよかったことのひとつに、 「研究の喜びは学会発表だけではないことを体験する機会が多い」という点があります。 大学にいるよりもビジネスや実用を体感することが多いですし、 またプレスリリースによって広く告知される機会も増えます。 願わくば今後も、大学以外の組織が主導する大きなプロジェクトに関わる機会を持ち続けられれば、と思っています。


2012/8/27

私が最近新しくつくったページに 博士後期課程進学に興味をもつ伊藤研関係者の皆さんへ というページがあるのですが、1週間前に同僚教員がTwitterで紹介したところ、 あっという間に非常に多くのブログやSNSで紹介され、4日で5千回以上のアクセスを記録しました。 2012年8月23日の ツイート数が際立っている記事にもランクインしているようです。

インターネット上の情報拡散の異常なまでの早さは、しばしば話題になりますが、 自分の書いたページがここまで急激にアクセス数を伸ばすことで、情報拡散の早さを痛烈に実感します。 ただ、概ね好評をもって拡散されているようなので、それ自体は非常に光栄に感じています。 ある意味、このような機会が論文以上のパワーをもって、研究者としての自分の知名度を高めることになりえますので、これはこれで楽しい時代になったともいえます。 願わくば、「ネット上だけでなくリアルでも会ってみたい」と言われる研究者を目指したいものです。

大学は学生の授業料だけでなく、税金も主収入としています。 このことを考えると大学教員は、自分の学生への教育だけでなく、日本全体の学生に対して有益な情報を発することが、税金を使わせていただいていることへの一種の還元であろうと思います。 このようなことを考えてウェブ上のメッセージ発信に努めていきたいと思います。


2012/8/21

拙研究室の論文がいくつか海外でピックアップされていますので報告します。

昨年の3月に国際会議で発表した以下の論文
K. Kusama, T. Itoh, MusCat: A Music Browser Featuring Abstract Pictures and Zooming User Interface, ACM Symposium on Applied Computing, Multimedia Visualization Track, pp. 1227-1233, 2011
が、Multimedia Visualization Trackのベストペーパーに選ばれ、Springer社が発刊する論文誌Multimedia Tools and Applicationsに推薦され、査読の結果採択されて掲載されました。 ここに載っています。

また、昨年の7月に国際会議で発表した以下の論文
A. Hayashi, T. Itoh, M. Matsubara, Colorscore - Visualization and Condensation of Structure of Classical Music, 15th International Conference on Information Visualization (IV2011), pp. 420-425, 2011.
が、一種の代表論文としてSpringer社が発刊するポストカンファレンス書籍に推薦され、査読の結果採択されて掲載されました。 ここに載っています。

さらに、今年の7月に同じ国際会議で発表した以下の論文
S. Yagi, Y. Uchida, T. Itoh, A Polyline-Based Visualization Technique for Tagged Time-Varying Data, 16th International Conference on Information Visualization (IV2012), pp. 106-111, 2012.
も、一種の代表論文としてポストカンファレンス書籍に推薦されています。

今後もますます、海外で評価を得られる研究活動を目指して精進したいと思っています。


2012/2/24

本学の学報GAZETTEに、 私のインタビュー記事 が掲載されましたので、紹介いたします。

また、2011年11月30日に開催された本学のFDセミナーにて私が僭越ながら講演をしましたが、その講演内容が電子化されました ので、こちらにも転載させていただきます。


2011/12/15

性格上どうしても、自分で計画を立てると海外出張はハードスケジュールになりがちです。 今回はここ2年間のスケジュールの代表例を紹介いたします。

2010年3月【台湾・フランス】某日の17時に台湾から成田空港着、いったん入国して荷物を受け取るが、その日の22時にもう一度出国してフランスへ。5時間も成田空港にいるのは退屈なので、電車に乗って銭湯に行って戻ってくる。22時に離陸、翌朝4時にパリ到着、3時間待って7時にフランス国内便でニースへ。朝8時半に学会会場に到着すると、ちょうど学会開始の特別講演が始まったところで、そこからまた1日が始まった。(確かその日のうちに座長をやったような…。)

2010年5月【イタリア】日曜の朝にローマを出国し、月曜の朝6時に成田空港に到着。そのまま大学に直行し、4時間半後の10:40には大学で講義。本来なら自宅に立ち寄ってシャワーを浴びる時間があったはずなのに、荷物が出てきたのが着陸から2時間後だったため、自宅に立ち寄らずに大学に直行。

2010年6月【シンガポール】日曜の夜にシンガポールを出国し、またしても月曜の朝6時に成田空港に到着。今度はすぐに荷物が出てきたので、自宅に立ち寄ってシャワーを浴びて、それから10:40に大学で講義。めでたし、めでたし。

2011年3月【香港】国内学会で昼食まで静岡県の修善寺で過ごし、そこから三島→新幹線で東京へ→成田エキスプレスで成田空港に着き、19時の便で香港に向かい、24時に到着、25時にホテルチェックイン。香港に向かう便は修善寺のほとんど真上を飛行。それまでの移動は何だったのだ…という思いに。

2011年10,11月【アメリカ・ドイツ】10月29日にアメリカから帰国し、アメリカとの時差ボケが抜けないまま、3日後の11月2日にドイツへ。到着した頃には時差ボケか何なのかわからなくなり、11月7日に日本に帰国した後は時差ボケを全く感じなかった。

2012年12月【香港】12月14日の午後に研究室でポスター発表をして、その日の25時(翌日午前1時)の便で香港を出国し、6時に成田空港到着。自宅に荷物を置いて、昼から東京工芸大の厚木キャンパスで3時間ほど特別講義。

私よりも多忙な大学教員の皆様の中には、もっとハードなスケジュールを体験されている方も多々いらっしゃることと思います。面白いエピソードがあれば、お聞かせ頂ければ幸いです。


2011/12/5

1ヶ月くらいの間に、学内行事にいくつか関わりましたので、まとめて報告します。

11月13日には、 本学徽音祭の受験生向け企画にて、キャンパスツアーの一部と模擬授業を担当しました。 高校生とその親御さんをはじめとして、多くの方と対話をさせていただきました。
なぜか徽音祭には縁があって、今年で3年連続の参加となります。 学生が主体となって運営する大きなイベントに、少しでも力になれていれば幸いに思います。

11月30日には、学内のセミナーにて、学生評価方法に関する学内事例を話しました。 同じ学内を見ただけでも、いろんな科目があって、いろんな評価方法がある、ということを知った貴重な時間でした。

同じく11月30日に、 学報「ガゼット」の取材を受けました。 来年の1月か2月ごろに、掲載記事が出版されるようです。とても楽しみにしています。


2011/9/14

学会等の正規の研究集会とは別に、 「いくつかの研究室による学生合宿に参加して欲しい」 「うちの研究室に学生を連れて遊びに来て欲しい」 といった誘いを非常に多く受けます。 自分たちで主催したもの、実現しなかったもの、いろいろと含めると年間15件くらいの話があります。
おそらく、同一分野の他大学の研究室と比べても、お誘いが多いものと想像します。 理由はひとえに、本学が女子大であること、そして拙研究室がいろんな研究分野の境界領域上で活動していること、であろうかと思います。

心苦しいことに、全てのお誘いに応じるのが物理的に困難な状況が続いています。 結果として、最初からお断りしたもの、参加希望学生を募ったけどゼロだったもの、 お誘いを受けてから実現までに1年半かかったもの、その他いろいろな不義理を重ねております。
また、研究室の付き合いが多すぎて、研究室学生の進捗や日常生活に差し支える、という本末転倒な状況は避けなければなりません。 そのため最近では、「できるだけ学生全員を連れてきて欲しい」という類のお願いはお断りしています。

お誘い頂く研究者の皆様におかれましては、大変な無礼をおかけする可能性があることをお詫びするとともに、お世話になることがあった際にはなにとぞよろしくお願いいたします。


2011/9/10

イノベーションジャパン という産学連携関係のイベントに、出展することになりました。 今回は謝金を払って、学生説明員を連れて行くことになりました。

普段の学会での質疑とは全く異なるタイプの質問を、たくさん受けることになるだろうと思います。 就職後に何度か参加するであろう展示会の予行練習として、いい経験になって欲しいものだと思います。


2011/9/4

ひとえに私の研究指導能力不足に起因することなのですが、 スケジュールが混み合ってきたことから、 学会での研究発表の件数が少し減り始めています。 特に、日本の学会で委員などの仕事を同時にたくさん引き受けたことで、 仕事の時間が足りなくなって、 結果として自分が委員をやっている日本の学会への投稿が減った、 という皮肉なことが起こり始めています。

論文は学生が書くものではないのか、と思われる人もいるかもしれません。 しかし私は指導教員である以上、原則として研究室から出る論文の共著者であり、 また共著者が添削する時間を全くとれないような論文を投稿するのは読み手に対して失礼であるという考えから、 学生に投稿を完全に任せるということはしていません。

日本の大学の(私の分野の)多くの研究室では、研究成果が出始めたら、 まず日本語で身近な学会で発表し、続いて英語化して国際会議に投稿し、 最後に雑誌(論文誌)に投稿する、というのが典型的な発表手順かと思います。 しかし私の研究室では最近、日本語で発表するのを割愛して、 最初から英語で論文を書いて最初から国際会議に投稿する、 ということも多くなりました。
さらに面白い(奇妙な?)ことに、自分たちの英語を和訳して日本の論文誌に投稿する、 ということも起こったりしています。

そこまでするくらいなら、最後まで学会投稿は英語だけでもいいじゃないか、 と言われるかもしれません。 しかし、日本語で研究成果を残すことにも、一定の意義はあると考えます。 特に最近、私たちの研究成果を読んでくれるのは研究者だけではない、 英語の得意な人だけではない、と感じる機会が増えており、 その観点からも日本語での配信の意義を感じています。 (ただし、論文でなくてもいいのかもしれませんが。)
典型的な例として、技術動向を検索していた企業の方が、 私たちの日本語の論文を見つけたことから、 私たちに研究費を授けてくれた、という例があります。
また別の例として、高校生が受験先を決める際に、大学の研究成果を参考にしていて、 私たちの研究成果もウェブで読んでいた、という例もあります。


2011/5/30

日本の大学も英語の講義を充実させるべきだ、という議論が多く聞かれますが、 本学でも学部生向けに英語の集中講義が企画されまして、 僭越ながら私が情報科学に関する講義を担当することになりました。
今夏、英語による 「サマープログラム」を開講!
折角の機会なので、多くの受講者が集まってくれることを期待しています。

講義つながりで話題をもう一つ。 本学の学園祭では常勤教員による模擬授業が企画されているのですが、 昨年度に続いて今年度も、僭越ながら私が模擬授業を担当させていただくことになりました。 学園祭の実行委員会は学生で構成されていますので、学生が私を選んでくれたということで、 これは本当に光栄なことだと考えています。 本学の宣伝という意味でも、いい講義ができればと思います。


2011/4/22

シミュレーション科学教育研究センター という組織が学内にできることになり、甚だ僭越ながら、 センター長の兼務を仰せつかりました。
この職にも辞令を交付していただきました。 今月1日にも別の辞令を頂いたばかりなので、 学長先生に「またですね」というお言葉をいただきました。

この組織は理学系だけでなく、文教育系、生活科学系の先生方も集まって、 シミュレーションをキーワードにして横断的な研究活動を展開しようというものです。 自分の知見や興味を拡げる上でも貴重な機会を与えて頂き、感謝しています。


2011/4/1

甚だ僭越ながら、4月1日付けで教授への昇進となり、辞令をいただきました。

教授への昇進への基準はいくつかありますが、大きいものとして例えば

  • 論文発表の実績
  • 指導学生の活躍
  • 共同研究などによる研究予算獲得
  • 学内、学外での委員会活動や社会貢献
などがあります。 この項目のいずれをとっても、私一人では実現できないことばかりです。 特に論文発表・共同研究においては、私自身よりも学生の活躍によって実現できたことばかりです。 その意味では、私を教授に昇進させてくれたのは学生達、とも考えられます。

この機会に、多大な協力をいただいた周囲の方々に深く感謝するとともに、まだまだ教員として未熟な私に益々のご教示を賜りますよう、お願いする次第です。


2011/3/25

震災で被害を受けた皆様に、ここで深くお見舞いを申し上げます。

私は3月21〜25日の間、台湾で学会発表の予定だったのですが、 震災の影響が色々あり、結果的に出張をキャンセルしました。 しかし発表もキャンセルというのは避けたいので、 関係者にお願いして遠隔発表ということになりました。

関係者と相談した結果、以下のような形式をとることになりました。

  • 筆頭著者(学生)によるナレーションの入ったパワポを現地で再生してもらう
  • 私がSkypeでログインし、質問があれば回答する
ところで、その発表予定時間が23日の昼前ということで、 本学の卒業式と全く同じ時間帯でした。 私の勤務先学科は、教員も率先してカメラをもって卒業式に参戦する学科です。 これは遠隔発表と卒業式参戦を掛け持ちするしてみましょう、ということになりました。

結果として私は、以下のようなスケジュールで発表時間帯を過ごしました。

9:50 研究室でSkype接続テスト
10:00 卒業式集合時刻:講堂に行って学生の写真を撮る
10:15 研究室に戻る
10:25 1件目の発表開始予定時刻
11:20 待っても待っても現地から連絡がないので講堂に行く
11:25 卒業式は終わり、学科別の屋外記念撮影を待つ間、写真を撮り合う
11:55 勤務先学科の撮影の順番待ちの間に、2件目の発表のために研究室に戻る
12:10 2件目の発表開始予定時刻
12:20 「発表会場ではSkypeは使えない」という連絡が入る
12:25 もう一度外に出る・学科の記念撮影に間に合う


結果的に、研究室と講堂・屋外を3往復しました。 しかしSkypeが使えなかったことで、結果的に私は遠隔発表に何も参加できませんでした。 学生のナレーションの入ったパワポを送っておいて本当によかった…という結果になりました。

直前の遠隔発表決定にも動じずに、英語のナレーションのついた発表資料を作成してくれた学生発表者に「お疲れ様」という意思を表するとともに、 こんな形で遠隔発表をセットアップしていただいた学会の関係者に、ここで深く感謝の意を表します。(日本語で感謝の意を表しても読んでくれませんが…。)


2010/11/27

韓国のKAIST(日本の東工大に近い位置づけの大学)で講演をしてきました。 私の主要な研究分野である「情報可視化」の話と、女子大学ならではの研究テーマ選びなどについて紹介しました。

正規の講演時間は90分だったのですが、コーディネータの方に70分くらいで締めくくるように言われました。 実際には講演の途中にも質問の時間を挟んだので、実質的な講演は50分くらいだったでしょうか。 残りの40分間をまるまる質疑に費やし、さらに30分ほど、残った学生と議論を続けました。

つまり、50分の講演に70分の議論 というわけです。 韓国の学生は、なんて積極的なのでしょう。 日本の大学も見習わないといけません。

その熱心さの裏には、トレーニングの成果があるようです。 私が訪問したコースの学部の科目には、 講義に質問すると1点、講義内容を後で議論するためのSNSに発言すると1点 というように、積極的に講義に参加することを採点基準に加えている科目があるそうです。 コーディネータいわく、このようなトレーニングが、今回の「質疑70分」の風土につながっている、とのことでした。

さらに印象深かったのは、韓国の大学院は、日本とは比べものにならない速度で、 講義の英語化が進んでいるそうです。 韓国の一部の大学院は「英語クラスの割合」を競争しているそうです。 「うちは英語クラスが8割」「うちは9割」みたいに。

私の講演の受講者の多くは、日本でいうところの社会人大学院生にあたるようです。 係長・課長クラスの中堅社員が、今後の自分のキャリアの一環として、 大学での勉強を並行しているそうです。 そのせいか質疑内容も、研究内容にとどまらず、 「女子大学から見習うべき点は何か」「韓国の印象はどうか」 「企業と大学の研究生活を比べて何を教訓とすべきか」といった、 自分のキャリアを真剣に見つめた質問が多かったのが印象的でした。

今回の訪問は、韓国の躍進の秘訣の一端を知ったような、とても刺激的なものになりました。 講演者の私のほうが、いい勉強をさせてもらった思いです。


2010/11/16

徽音祭(本学の学園祭)で、模擬授業の講師を担当しました。 「コンピュータが創る映像と音楽」というタイトルで、 コンピュータグラフィックスやコンピュータミュージックの技術紹介をした後、 最後の10分くらいで情報科学科の紹介をしました。

私はできるだけ、客層を意識して講演の準備を心がけているのですが、 学園祭の模擬授業の客層はなかなか読めません。 たまたま本学は、受験生とその親御さんが多数学園祭にいらっしゃるので、 その方々を主たる客層だと思えばいいのかもしれませんが、 実際には半分くらいの方は受験生家族以外の方々です。 それだけ幅広い客層の方々すべてを納得させる講演ができたか自信はありませんが、 楽しんでくれた方も多いようで、なによりです。 たまたまご来場いただいた方々にも、本学の講義風景の一端が印象に残ってくれれば、 何よりだと思います。

ちなみに昨年私が参加したクイズ企画参加や、今年の模擬授業は、 2年間にわたって徽音祭実行委員長を務めてくださった学生の、 「教員を徽音祭に」の考えから推進されたものだそうです。 楽しい機会をくださった実行委員長はじめ実行委員の方々に、 この場を借りて感謝の意を表します。


2010/7/16

昨日の夕食の席で、他大学の文学部の先生の興味深い話を伺いました。

日本では過去に3回の人口停滞期があったそうです。 1回目は平安時代、2回目は室町時代、3回目は江戸時代だそうです。

そして、この3回には共通項があるそうです。 遣唐使廃止や鎖国などの関係で、3回とも、海外との接点が少ない時期だったこと。 そしてその結果として、海外とは異なる日本独自の文化が成長した時期だったこと。

そして現在、日本は少子化にともない、4回目の人口停滞期を迎えています。 歴史は繰り返すと考えるなら、きっと日本は再び、海外との交流を減らし、 日本独自文化を育むのではないか。 そして、その行動は、島国を防御するために正しい行為なのではないか、 という仮説があるそうです。

理系研究者の間では最近、 「科学技術のグローバル化の進んだ現代にて、若者の留学者数が減っているとはけしからん」 と仰る方が多数いらっしゃいます。 しかし、それは単に、海外交流を減らす、という歴史を繰り返しているだけで、 ひょっとしたらこれが正しい選択なのかもしれません。

情報技術に詳しい人の間では最近、 「iPhoneやAndroidなどのグローバルなスマートフォンが普及しているのに、 なぜ日本人は日本固有の携帯電話にこだわる人が多いのか」 と批判される方が多数いらっしゃいます。 しかし、これも単に、日本独自文化を育む、という歴史を繰り返しているだけで、 ひょっとしたらこれが正しい選択なのかもしれません。

当然ながら、江戸時代以前の事実をそのまま現代社会に当てはめることはできませんし、 私もその意味では、上述の仮説をそのまま信じるつもりはありません。

ただ言いたかったのは、違う専門分野(この例では文学部)の視点からは、 私たちの視点とは全く異なる事実が見えるものであり、 私たちの視点だけでは未来は予測できないということです。
つい視野が狭くなりがちな研究者生活を、ときどき反省しないといけない、 ということを強く考えさせられました。


2010/6/22

最近なぜか、「企業から研究予算を獲得できるような話を得るコツを教えてくれ」 という質問をよく受けます。
なぜ自分が受託研究契約などに恵まれているのか、 正直いって自分にもよくわからないのですが、 自己分析を兼ねて思い当たる点を列挙してみました。 誰かの参考になれば幸いです。
逆に、特に企業の方からの「それは間違っている」という指摘も歓迎します。

  • 研究ネタを探すときに、自分の興味ある分野の権威者の論文を読んでヒントを探す、という方法に陥り過ぎない。
    • 自分の分野の学術的尺度にハマリすぎると、その分野の研究者にしかウケない研究に陥りかねない。
    • 既に発表された論文から得たヒントで研究を進めても、美味しいところは既にもっていかれている可能性も高い。
    • むしろ学術から少し頭を離して、自分が何を欲しいか、自分が何に満足したいか、 世間は何を欲しいか、といった純粋な気持ちにたって研究ネタを探す。
    • あるいは唯我独尊的な発想にたって、 自分の研究資産を最低限の苦労で別の問題に再利用させるにはどんな研究ネタが合理的か、 といった計算高いことを考える。
  • 研究者の間で話題になっている(一見面白そうな)研究分野より、着手している人の少ない研究分野のほうが、予算獲得の競争率が低い、という考え方もある。
  • 研究室の成果をできるだけ全てウェブに載せる。 代表的な成果だけを載せるのではなく、できるだけ全部載せる。 果報はウェブに載せて待つ。
    • 相手は何に興味を持ってもらえるかわからないので、とにかく載せる。
    • 幅広くいろんな話題を載せていることで、「これだけ手広く研究ができる人なら、わが社の問題も解決してくれるかもしれない」と解釈する可能性もある。
  • 学会発表だけでなく、むしろセミナー講演などのお誘いを積極的に引き受ける。 講演の際には、自分の研究のユニークさ(学術的な新規性・独創性)と、 どのように社会に役立つか(非学術的な有用性)の時間配分に気をつける。
    • 新規性と有用性のバランスよい配分により、「私が誰よりもあなたのお役に立てます」という雰囲気を出す。
  • 学会や講演の場で面識ができた人とは名刺を交換する。 脈がありそうだったら、とにかく一両日中にメールを出す。
    • マメ男(死語)であることは研究者にとって重要。持論。
  • 企業側の担当者も、予算を用意するからには社内の説得が必要なはず。 その説得材料をこちらから率先して用意してあげることで成功につながる場合もある。
    • さっさとNDA(機密保持契約)を結ばせて、相手のデータを見せてもらい、 こちらの研究資産(例えば自分で開発したソフトウェア)に適用して結果を出し、 この結果を社内の説得材料に使って下さい、と示す。
    • このフェーズはお金をもらえなくても頑張る。 来年度に予算がつけばいい、いまは先行投資だ、と割り切る。
    • むしろ、ここで誠意を見せた方が、企業側が自分を信頼してもらえる、と考えることにする。
    • 逆に、このフェーズで「この研究契約は無理そうだ」と思ったら、 危険を冒す前に撤退できる、というリスク判断の時期にもなりえる。
  • 会議などの端々で、「来年も研究契約が継続できるなら…をやりましょう」 という夢を語る。
    • 企業側も、研究契約を継続したいが、社内を説得する話題がない、 と悩んでいる場合がある。
    • それに対して、こちらから来年度の研究ネタを示すことで、 研究契約を継続する道が拓ける…かもしれない。
  • 預かった予算の一部を、本研究成果の発表に使います、と宣言する。
    • 研究成果を出すだけでなく、 学会発表やウェブなどでの成果公開をもって貴社をPRします、と説明する。 経験的にいって、この説明に喜んでくれる企業はGood Partnerである。
    • 研究に加わった学生が、その研究内容を学会発表して問題ないか、 ということも確認する。 共同研究に関わった学生に不満を抱かせるような研究体制を避ける努力も重要。
  • 総じて、「企業」「大学」「教員」「学生」の全てが満足するような研究体制を目指すのが重要。 そのために教員は、自己の価値を損なわない範囲で、自己調整を図る必要がある、と考えている。


2010/5/12

研究の一環として、勤務学科の研究室や講義履修者、非常勤講義先の履修者、 mixiやTwitter、などを通して、歌詞に関する以下のアンケートをとりました。

『問1』 歌詞を意識的に聞くことはありますか?

『問2』 選曲の際に歌詞の内容を基準にすることはありますか?

ご協力いただいた皆様、まことにありがとうございました。
現状で結果は以下のようになっています。

このアンケートを採る際に、問1・問2ともに、ある程度の高い数字が出ること、 そして男性より女性のほうが高い数字が出ることを予想しました。 ご覧の通り、結果は概ね私の予想とおりでした。

このアンケートは、現在博士前期2年の学生の研究で、 歌詞の内容を考慮して楽曲を可視化する というテーマの一環で実施したアンケートです。

問1・問2ともに、高い数字が出れば出るほど、 歌詞の内容に関する研究に意義がある、と考えました。
また、男性より女性のほうが高い数字が出れば、 女子大学で本研究テーマに着手するメリットがある、と考えました。
上述の結果を、ありがたく今後の参考にさせて頂きたく存じます。

ところで本アンケートの回答者には、以下の2点で非常に大きな偏りがあります。

  1. 電気・情報系学科の大学生、およびインターネットを毎日利用している人の割合が非常に高い。
  2. 30代以上の人には全く実施していない。
例えば、文章に興味のある人の割合が高いと思われる文学部の学生だけを対象としてアンケートを実施したら、 もっと高い数字が出るか、ということにも興味があります。

例えば、ネット配信以前の、CDやレコードといった、 歌詞カードがつきもののメディアで若者時代を過ごした、 30代以上の人を対象としてアンケートを実施したら、もっと高い数字が出る、 ということにも興味があります。

できればこれらについても、手があいたら実施したいものです。


2009/11/08

徽音祭 (本学の学園祭) の「High Quality クイズ」という教員参加企画に出演しました。 無知ぶりをさらけ出してきました…。
チームは負けたにも関わらず、(おそらくスポンサー企業から)出演者全員に、 お菓子詰め合わせと、ペットボトルのコピーが配られました。 この不況の中、学園祭に出資してくださる企業各位には敬服いたします。
それと、出演を打診してくださった実行委員の皆様、まことにお疲れ様でした。


2009/11/05

「コンピュータが創る色と音」 という科目の内容が、お茶大のページに紹介されました。 前向きに紹介されていて嬉しい限りです。


2009/7/18

伊藤研究室への配属を希望する学生向けの情報ページ を大幅に更新しました。 研究室について正しい理解をもって配属を希望してくれることを祈っています。


2009/2/20

本学の リレーエッセイ というページに寄稿しました。 しかし、このページ、どこからリンクを辿れば到着できるのか全く分かりません…。


2009/2/6

本学の 知財公開フォーラム というイベントにて講演してきました。 普通に授業と学会で登壇する限り、いつも聞き手は情報科学を専攻している人が中心ですので、 このような登壇があると新鮮な気分になれます。


2009/2/1

気がついたら4か月以上も空いていました。 10月末に帰国し、それからまた国内・国外5か所ほど出張し、 めまぐるしいうちに旧年が過ぎていました。

旧年の終盤、3件続けて研究室の学生の受賞がありました。 私がアメリカに行っている2ヶ月間にも進捗があっての受賞です。 私がいなくても成果を伸ばせる学生たちを、頼もしく思います。


2008/9/19

研修期間中のレポート を書き始めました。しばらくの間、こちらで近況を報告いたします。


2008/8/28

突然ですが、8月31日から10月26日まで、 カリフォルニア大学デービス校を拠点とする2カ月弱の出張に行くことになりました。 出張の名義は、海外大学での教育経験を得ることです。

海外の大学に滞在するには短い出張期間ですが、 短期集中で大きな成果をあげられるよう頑張りたいと思います。 研修風景をウェブでも紹介していきたいと思いますので、 ぜひ見てやってください。


2008/8/20

私の研究室は昨年度も今年度も、配属4年生が全員大学院を受験し、 合格すれば全員が私の研究室に残る予定です。 自大学だけでなく他大学の例をみても、これはそう多くないことで、 私は教員として非常に恵まれているように思います。

いろいろな人から、「女子大なのに、その進学率は驚異的」と言われます。 しかし、その考えは必ずしも正しくないだろうと思います。 昔と違って、女子は短大生が最も就職率が良い、なんて時代ではありませんし。

あるいは、「女性は出産などで社会人生活にブランクが発生するから、 そのぶん早く社会人になったほうがいい」という人もいます。 それはそれで、間違っていないのかもしれませんが、あくまでも就職する業界の体質に大きく依る考え方だろうと思います。
少なくとも私の業界では、専門性を高めた方が生涯的に働ける可能性が高いのですから、 その権利を得るために大学院に進学する、という発想がありえるはずです。 その発想が大きく効くかどうかは、業界によって大きく異なるものであり、 ひいては学部・学科によって大きく異なるものです。

よって、来年度以降に就職活動または大学院受験を考えている学生達にアドバイスしたいのは、 自分の学科の先輩の助言を何よりも重視してほしい ということです。

皆さんの進路に最も有効な意見をもたらしてくれる人は、同じ教育を受け、 同じ業界に進む先輩たちである。 これはきっと、間違いないと思います。 自分の進路に迷ったら、ぜひ学科の先輩に相談してみましょう。 ご両親よりも、他大学の友人よりも、他学部・他学科の友人よりも、 リアリティのある助言を得られるに違いありません。


2008/7/15

先月はギリシャで1人、今月はイギリスで2人、それぞれ学生を学会発表させました。
私が学生だったころ(大昔のことですが…)博士前期課程の学生が、海外で(当然英語) 発表するというのは、あまり頻繁なことではなかったように思います。 私自身はというと、海外はおろか、首都圏から出たこともありませんでした。
それが最近では、私が学生だったころと比べて、 非常に多くの学生が研究活動のために海外に出るようになった、という印象があります。

そこには大きな要因はあるのでしょうか。 私が考えるに、以下のようなことが要因として、ありえるような気がします。

  • 大学院進学者に対して、実績や経験が求められるようになった。
  • 個人的に海外渡航経験のある学生が増えて、海外へのバリアが低くなった。
  • 応用研究が増え、学生でも立派な成果をあげやすくなった。
  • 大学の研究資金獲得がさかんになり、学生を派遣しやすくなった。
いずれにしても、大学が学生に対してアクティブな活動の場を提供しやすくなったのは、 非常にいいことだと思いますし、 その意味では最近の大学院生は昔よりも恵まれているといえます。 ぜひとも、この環境と傾向を持続したいものです。


2008/5/2

またしても非常勤の他大学の話。 今年度は新しい校舎の、新しい教室でコンピュータの実習を担当していますが、 昨年よりもずっと実習をやりやすいことに気がつきました。

理由は簡単です。昨年度までの教室は縦長(前後方向に長い)だったのに対して、 今年度からの新しい教室は横長(左右方向に長い)のです。 これで学生がずいぶん近くに見えるようになった気がします。
単純な理由ですが、ずいぶん効果があるものですね。


2008/4/20

私の講義科目は全てコンピュータに関係ある専門科目なのですが、 文系学部からの履修者もいます。 昨年度は1年生の基礎科目に数名の履修者がいましたが、 今年度は3年生の、かなり専門性の高い科目にも履修者がいます。

本学の情報科学科は、3年生の専門科目は選択科目ばかりです。 情報科学科の学生でさえ、全ての科目を履修していたら非常に大変なので、 各科目に関していえば全員が履修するとは限りません。 その中に他学部から参入するのは、大変な面もあるだろうとは思いますが、 ぜひ単位取得まで頑張ってほしいものだと思います。


2008/4/9

勤務先大学よりも先に、非常勤で担当している他大学の講義が始まりました。 その大学では校舎を新築したため、今年度から新しいコンピュータ室での講義となりました。
今日が講義開始日、私の時間は1限、講義対象者は1年生、初めてづくしでした。

自己紹介のとき
「私は実は水曜日の朝しか当大学にいません、本来は他大学に勤務しています」
と説明したら、学生たちは驚いた反応を示しました。
考えてみれば、驚くのも無理はありません。 つい先月まで高校や予備校に通っていた学生からみたら、 大学の非常勤講師なんて想像のつかない存在だろうなぁと思います。

ひょっとしたら、「本来は他大学に勤務」というより、 「本来の勤務先は女子大」という点に反応したのかもしれませんが…。


2008/3/20

今年も企業その他いろんな場所から研究予算をいただいていたので、 年度末はその研究成果報告で忙しくしています。
大学の2,3月は、講義のない期間中も、入試をはじめとする学内用務も多く、 研究も区切りをつけないといけないので、何かと忙しいですね。

今年は某企業への研究成果報告会があったのですが、 報告会の大半を卒論生2人の発表で費やしました。 その内容が某企業の社長さんにも好評で、 おかげさまで翌年度も研究を続けさせていただけることになりました。

ここまで本研究を支えてくれた当該学生に感謝するとともに、 来年度はますます実社会に貢献できる研究を目指したいと思っています。


2008/3/9

京都で開催された、ある国際会議(各国から発表者や聴講者が集まる学会)にて、 参加登録の責任者の役を仰せつかりました。 研究室の学生も4人ほど学会発表があったのですが、それ以外にも6人を同行させ、 学会の窓口の仕事を担当させました。

外国人参加者には英語で対応しなければならない、ということで、 不慣れな学生たちには大変な経験だったようです。 しかし学会参加中に、学生たちは多くの外国人参加者と友達になったようで、 非常にいい経験になったのではないかと思います。 単純に勉強をするだけでなく、こういう経験を積み、幅広い友達をつくることも、 授業料に対してモトをとる有効な機会だろうと思います。


2008/2/18

数日前に、卒業研究と修士研究の発表が終わりました。 修士論文を提出したのは、私の研究室の一期生です。 つまり、私にとって初めて、卒論生と修論生を同時に迎えた年となりました。

微妙にレベルもスケジュールも異なる両者を、バランスよく同時に指導するのは、 意外と難しいことだと痛感しました。 来年度以降のための反省材料として、覚えておこうと思います。


2008/2/2

学生がウェブ上で日記を書き、同級生がそれにコメントを書く、という習慣はもはや常識化していますが、いまや教員が学生のウェブ上の日記を見る(その逆もあり)ことが多々あります。

さっき、学生の日記へのコメントで、非常に嬉しい一文を見つけました。 原文のまま転載するのは問題があるので、私の言い回しに書き換えて紹介します。

【論文自体の執筆や提出は、もう終わっている。それでも、よりよい結果を求めて、最後まで開発や実験を続けたくなる。】

この学生のコメントに、自分も激励されたような気分になりました。 研究の動機は、決して論文提出や単位取得だけではありません。 世の中の役に立つために、また自分が納得するために、引き続き頑張ってほしいものです。


2008/1/30

今年から1年生後期の科目を担当しており、昨日でその講義を終えました。昨日の課題提出には、本講義の感想や意見を書け、という設問も出しました。

気の早い私は、この科目の資料を夏休みのうちに全部作ってウェブで公開していました。 しかし講義を始めて、初めてこの科目が、自分の所属する情報科学科以外にも、 履修者が何十人もいる、という事実に気がつきました。 大教室でやっている講義なので、よく考えてみればそれは当然じゃないか、ということなのですが… 案の定、提出された課題の中には、他学科の数人の学生から「内容が難しすぎる」 という声がありました。

講義に限らず、発表資料を作るときには、聞き手の前提知識を考慮するのは常識だと思います。 この科目の資料は、その常識に少し欠けたものだったかもしれません。 その点は反省しなければいけない、と思っています。

しかし面白いことに、「内容が難しすぎる」と不満を書いた学生に限って、点数がいい傾向にあります。 講義の書きぶりに再考の余地はあるかもしれませんが、 内容を易しくする必要はあまりない、というようにも思っています。


2008/1/21

私の作業用ノートパソコンが、もうすぐ壊れそうです。 これを機に、赴任前から長く使っていたI社ブランドのノートパソコンから、 Apple社のノートパソコンに切り替え、1台でWindowsとMac OSの両方を使い始める予定です。

私の職場では、学生用の計算機室は数年前からMacで統一しており、学生からもMac固有の質問がよく寄せられます。 このような状況で私がMacに使い慣れていないのもどうか、と常々思っておりました。 それでなくても、MacのほうがWindowsより格段に優れている点も多々ありますので、Macを使いたい欲求は多々ありました。 かといって長年のWindowsのしがらみもあり、簡単には足を洗えそうにありませんし…

というわけで、1台でMacとWindowsを切り替えて利用できる環境を構築する、というのは私にとって非常にありがたいことになりそうです。

ただ、これに伴う出費も多々発生しそうです。音楽制作ソフトをはじめ、いくつかのソフトについてはMac版を買いたくなるでしょうし…


2007/12/27

先日、日経新聞の付録で、「大学選びの新たな視点」という特集が組まれました。 その中で、「いま大学に不足しているものは」というアンケートの集計結果がありました。

1位: 実践的な授業を積極的に行っている。
2位: 教養や社会人としての常識の教育に熱心。
3位: 時代のニーズに即した学部・学科がある。
4位: 企業との共同研究が盛ん。
5位: 社会人の受け入れを積極的に行っている。
6位: 民間企業等で実務経験のある教授が充実。
...

手前味噌になって恐縮ですが、私の研究室は企業との共同研究も複数ありますし、 社会人の博士学生もいますし、私自身も民間企業での実務経験があります。
こういう立場を有効に活かして、勤務先大学のイメージをあげるために、 微力ながら大学に対して何らかの協力ができればと思うのですが…。 しかし、いざ何ができるかを考えてみると、自分が本当に微力であることを痛感します。


2007/12/21

4年生の卒論の中間発表を催しました。
今回の発表会は、発表12分に対して質疑を18分、 ということで発表よりも質疑中心の会にしました。
こういう機会に、質問や意見が多発して盛り上がる、 という場をつくるのは難しいことが多いように思います。 しかし今回、各発表に対する18分の質問と意見は、ほとんど学生たちによって出されました。 私はほとんど、何も発言せずに一番後ろで眺めている状態でした。 つくづく私は、意欲ある学生に恵まれていると思います。

数学やプログラミングなどのスキルを身につけることも大切ですが、 社会に出たら討論能力は非常に大切だと思います。 学生たちには研究室生活の中で、ぜひとも前向きな討論能力を身につけて欲しいものだと思います。


2007/11/21

私は学生時代、アマチュアクラシック楽団に所属していました。その過程で、 多くのアマチュア演奏者仲間と、以下のような議論をしたことがあります。

以下の2つの楽団のコンサートで、どちらに好感を持ちますか?

  • コンクールで入賞した1曲が、際立って素晴らしい演奏をする楽団。
  • コンクールでは入賞を逃したが、コンサートでは全曲にわたってある程度いい演奏をする楽団。

実際に、私に馴染みのあった多くのアマチュア楽団は、 上記の2種類のいずれかに属するものでした。
私は断然、後者に共感をもったものです。 約2時間もの間、コンサート全曲にわたって聴衆をひきつける、というのは非常に大変なことだと思います。 それは私にとって、1曲のコンテストの入賞曲より価値の高いものだと思っています。

そして私は、研究にも同じ考え方が適用できると思っています。 1論文の受賞よりも、全ての研究成果が一定以上のレベルに達すること。 それが私にとっての研究室運営の大きな目標の一つです。


2007/11/12

研究室の修士研究中間発表を実施し、博士前期2年生の6人が発表をしました。 非常に多くの方に集まっていただきました。ありがとうございました。
発表会の後に簡単な懇親会を設けたのですが、その場には研究室の学生だけでなく、 学科の先生方、まだ研究室に配属していない3年生、他大学の先生方や学生など、 非常に多彩な面々が集まって盛り上がってくれました。

改めて、これだけの多くの方々に集まっていただける研究室を持っている、 ということに幸せを感じると同時に、この恵まれた環境に負けない研究成果を出したい、 また研究室の学生たちには満足な研究生活を送ってもらいたい、 という思いを強くした一夜でした。


2007/11/5

KGTという企業の方が、研究室インタビューにいらっしゃいました。 こちらにインタビュー記事が掲載されています。
このような形で、研究内容を紹介していただけるのは、非常にありがたいことです。 この記事から、また新しい縁が生まれることを楽しみにしています。


2007/10/3

私の所属学科には「3年生合宿」という行事があります。 研究室配属前の3年生に、上級生が各研究室を紹介したり、 また卒業後の進路についての説明をしたり、という内容です。 今年は先週の金曜から土曜にかけて、東京近郊の研修施設を借りて1泊で開催されました。

100人規模の大きな学科では、学生全員を集めて合宿するのも大変でしょうから、 この程度の内容でわざわざ1泊しようとは考えないのではないでしょうか。 その意味では、小さい規模の学科というのも、悪くないな、と思うことがあります。

就職活動が3年生から始まってしまう(私にとってあまり好感の持てない)状況が続く昨今、 この時期に研究室や進路のガイダンスを開くのは非常に重要だと思っています。 3年生が納得のいく進路を選んでくれることを祈っています。


2007/10/1

私の講義に関するエピソードを書いて欲しい、という依頼が大学からありましたので、 甚だ僭越ながら執筆させていただきました。 FDエッセイという企画の第十四回です。
昨年度の3年生の講義科目で、学生からの授業評価アンケートの点数が高かった、 という理由で私が執筆者に選ばれたそうです。 つまり、このような機会を下さったのは昨年度の3年生、ということになります。 この場をお借りして、感謝の意を表します。


2007/9/27

私の研究業界では毎年恒例の大学生合同合宿が、22〜24日の3連休に開かれ、 研究室の学生全員(15人)が研究内容を発表してきました。

私の所属学科では、学生は3年生の2月に研究室に配属となり、 4年生の2月に卒業研究内容を学内発表し、それと同時期に(主に大学院進学者は) 学会発表デビューする、というのが標準的なスケジュールです。 私の研究業界では、その標準的なスケジュールより大幅に早く、 学外発表の機会を全員に与えることができる、ということで非常に有難く思っています。

人前で発表し、多くの人から叱咤激励を受けるという機会は、 自分を成長させる上での大きな動機付けになることと思います。 このような機会をいち早く得られる恵まれた環境を、できるだけ有効活用できるように、 来年度以降も積極的に参加したいと考えています。


2007/9/9

私の受託研究のニュース掲載を紹介いたします。 Excite , Fideli , Infoseek , Venture Factory , SEO Tools News , PC View , Open Tech Press , 他にも多くのサイトで掲載されました。本当にありがとうございます。 こうしてみると、IT系のニュースサイトって非常にたくさんあるのですね。


2007/7/19

研究者の多くは、ある一つの研究分野に、それこそ一生をかけて従事しています。 それに対して私は、「情報科学」という大きな分野の中で、大きく離れた分野に一時期従事していたことがあります。

本学に赴任する前に、13年間にわたって企業に勤務しておりましたが、 そのうちの前半10年間は本来の自分の研究分野に関係ある研究グループに所属し、 後半3年間は全く別の研究グループに所属しました。 (企業では、このような配置転換は、決して珍しいことではありません。)

私は企業生活の後半3年間、本来の自分の研究分野の勉強を怠っていたように思います。 本学に赴任して、研究分野をもとに戻したとき、私は自分の研究分野の先端から取り残されているのを非常に強く感じました。 そして2年が経過した現在も、まだ自分は時代に追いついていないと思うことがあります。

この部分だけを読むと、企業生活の後半3年間は単なる回り道だった、 というように見えるかもしれません。 しかし実際には、この後半3年間は、それまで自分の研究分野以外のことを何も知らなかった私に、 広い視野と新しい視点を与えてくれた、きわめて重要な3年間だったように思います。

欧米ではサバティカル(職場を離れて自由に研究をする期間)にて、 あえて本来の研究分野と全く異なる場所に身を置く研究者も多い、 またその時に得た知見が研究者を生まれ変わらせることがある、と聞きます。

「自分の企業生活の後半3年間も、 そのような欧米流のサバティカルと同じように実りある期間だったのだ」と、 言い張れるような研究成果を出したいものです。


2007/7/18

最近、大学の用務で、全教員向けに私の名前が出る機会が2つあります。 1つは、大学のホームページの実態調査の(大学全体の)集計者を私が担当していること。 もう1つは、主に企業向けに配布する研究紹介資料を全教員が制作することになっているのですが、そのサンプルを私が制作して配布していること。

私の勤務先は知名度のわりに規模の小さい大学なので、 私のような赴任3年目の新米教員でも、全教員に名前が出てしまう機会が (他の大学と比較して)多いような気がします。

このような用務によって得られるコネクションを、 自分のスキルアップなどに活かす機会ができればいいのですが…


2007/7/15

台風一過の本日、主に高校生を対象としたオープンキャンパスが開催されました。 飛行機の欠航や、新幹線の運休が相次ぐ悪天候の中、 生活科学部と理学部だけで600名もの来場がありました。 (この数字、文教育学部を含めた本学全体の1学年の定員より多いです。)

こんな悪天候の中、熱心な受験生が多数来場してくれることを誇りに思い、 ますます精進すべきだということを再確認させられました。

私は高校生向けの1時間の講演をしました。 このような(非専門家向けの)講演は大好きです。 大学教員の仕事の中でも、指折りの好きな仕事です。


2007/7/8

他大学の非常勤で、1年前期のプログラミング演習科目を担当しました。 1年前期の演習は、教えることだらけで、しかも教えるべき項目どうしが「鶏と卵」 のような関係だったりするので、なかなかコツが掴めませんでした。 プログラミング言語と、コンピュータの操作方法と、コンピュータの仕組みを、 ごちゃ混ぜに教えているのは、どうもまだ違和感があります。

高校に情報の科目があるとはいえ、まだコンピュータでの作業に慣れていない1年生に、 どのようにプログラミングを習得させるか? 今回は以下の項目を徹底してみました。

  • 短いプログラムを何度も打ち込ませ、プログラミング言語の最低限の文法を、 頭より手で覚えさせた。
  • コマンドも最小限のものだけを何度も繰り返し使わせ、プログラミング言語と同様、 頭より手で覚えさせた。
  • 隣の同級生がわからないことを、積極的に教えてあげる癖をつけるようにさせた。(隣の同級生のエラーを解読できるようになれば、実力アップにつながる。)
学生の理解状況を見る限り、この方針は悪くなかったように思うのですが、 プログラミングの初期教育科目を持っている他の先生とも話してみたいような気がします。

また今回、最終週に「プログラムを紙に書かせる」という筆記試験も実施しました。 これもひょっとしたら、プログラミング演習科目としては珍しいのかもしれません。


2007/6/29

学会の「プログラム委員長」という仕事を全うしてきました。 日本中の大学・企業から寄せられた70件以上の応募論文に対して、 査読者(審査する人)を割り当て、その査読結果を集計し、採択論文を決定し、 プログラムを決定し、その他諸々の問い合わせに対応する、という仕事内容でした。

それなりに労働量も多いし、気を遣うこともありますし、 そのわりには手当も表彰も何もない単なるボランティア仕事だったりするのですが、 しかし学会の委員に参加することで得られる人脈、 そしてその人脈を通して得られる口コミ情報は、とても大きな価値があります。

むしろ私のような性格の研究者は、このような人脈と口コミ無しには、 100%の力を出して活動するのは無理、という気がします。


2007/6/1

企業から大学に転職して2年余になります。 これまで多くの人に「企業と大学と、どっちがいいですか?」と質問されてきましたが、 最近になって答えが見えてきた気がします。

私の企業生活では研究所に所属し、ビジネスに関わるだけでなく、 大学に負けない面白い研究プロジェクトに関わってきました。 また私の大学生活では、基礎的な研究と教育に関わるだけでなく、 ビジネスの一端ともいえる研究に携わっています。 そういう意味では私の企業生活と大学生活は、どちらも充実したものといえます。

ただ1点、決定的に違うのは、学生に講義をしたり、学生とゼミをしてすごす日々が 何よりも楽しくて充実している、ということです。 そのぶん大学のほうが上かな、と【今は】思っています。


2007/5/31

私はアメリカの大学に半年ほど滞在したことがあるのですが、 感心したのはアメリカの就職活動の時期でした。 私が当時在籍した研究室には、修士2年生が2人いたのですが、 2人とも就職活動は修士論文を提出した後のことでした。 そして2人とも、修士論文の内容を評価されて、志望先企業に就職しました。

日本の大学の就職活動の時期は、どう考えても早すぎると思います。 どうにかならないものでしょうか。
企業が学生と面接をする際に、「大学で何を研究してきたか」 なんて聞く価値がないと考えているのでしょうか。 もしそうだとしたら、大学側にも問題はあるのでしょうね。

ただ、私の研究室の学生の話を聞く限りでは、少なくとも理系の大学院生の 就職活動では、研究内容を聞かれる機会は多いようです。 実際に、内定先企業の方がわざわざ私を訪問して、 「研究内容を高く評価したので、あなたの研究室の学生を喜んで採用しました」 と説明されたこともあります。

本学の場合は3年生から4年生に進級する直前に研究室に配属になるのですが、 もし修士学生が就職活動の武器に研究成果をあげるとしたら、 4年から修士1年にかけての2年弱の間に、成果を出す必要があります。 そう考えると、進学する人だって、勝負は4年生のうちから始まっている、 ということになるかと思います。 大学院に進学する人はぜひ、「進学したら頑張ろう」などと思わず、 研究室に配属になった瞬間から頑張ってほしいものです。

また、大学院進学時に研究室を変える人は、4年から修士1年に進学する時点で 研究テーマが大きく変わる可能性があります。 その場合には「2年間で成果を出す」というより、 「1年間と1年間で成果を出す」という考え方で臨んでほしいと思います。 何よりも一番まずいのは、「どうせ進学先で別の研究をやるんだから」 といって4年生のとき頑張らないこと、でしょう。

もっとも、今年は景気がいいせいか、そんなことを気にする必要もないくらい 就職戦線は順調なようですが…


2007/4/18

大学教員には海外実践研究(昔は在外研究と呼んでいた)という機会があります。 半年とか一年といった、ある程度の長期にわたって、 海外の研究機関に滞在して研究に携わる、というものです。 研究者としての知見や経験を深める上で、極めて有益な機会です。

私も大学教員になるとき、近い将来ぜひ海外へ、と思ったものです。 しかし、いざ大学教員になってみると、なかなか自分の職場を離れて 海外に滞在するタイミングをつくるのは難しいなぁ、と思います。

理由の一つは、学外に対して責任や義務を伴うスタイルで研究活動に取り組んでいることです。 私は大学に赴任して早々、政府系事業の代表者に公募して選出されています。 また複数の企業と、将来のビジネス展開を視野に入れた長期的な研究を請け負っています。
これらの活動は、それなりに学外に対して責任を伴うものであり、 その活動の半ばにして長期間にわたって日本を離れるのは、無責任であるとも言えます。
私は個人的には、社会に直接結びついた研究活動をしたいので、 このような事業に積極的に手を出したいと思うのですが、一方で、 そんな活動で研究者が縛られるのは好ましくない、 予算がほしければ科研費や寄付金を集めればいいだろう、という人もいます。 研究活動のスタイルも、考え方次第、というところでしょうか。

もう一つの理由は学生です。 教員が長期にわたって職場を離れるということは、 教員の研究室に所属する学生も離れていく可能性がある、ということです。
学生と接するのが好きで大学教員になった人間が、 帰国したら研究室に学生が誰もいなかった、 という状況がくるのは、耐えがたいものがあります。 (まぁ、これを最重要視していたら、海外実践研究には一生行けないですね。)

というわけで、いつかは海外実践研究に行きたい、 という気持ちは現在もヤマヤマなのですが、 どのようにタイミングをつかむか、という点では今後も悩みそうです。


2007/4/17

都心の大学が恵まれていると思う点の一つに、就職活動があります。

私の研究室でも現在、6人の博士前期2年生が就職活動に取り組み、 面接などに臨んでいます。都心に大学があるので、面接会場の多くは大学の近くです。
一方で彼女らは、就職活動中であっても研究の手を休めず、 セミナーや面接に行く傍らで論文を投稿したりしています。
そのため彼女らの生活は、就職活動会場と大学を行ったり来たり… というモードになります。

地方の大学では、こんなわけにはいきません。 就職活動会場に行って帰るだけで、大変な時間と体力を使います。 その傍らで研究も同時進行…なんて、かなり無理がありそうな気がします。 (地方の皆様、実際のところ、どうなんでしょうか?)

一生を決める就職活動の大事な時期に、論文投稿を同時にやらせるなんて、 先生もキツイですねぇ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 確かに、私の研究室の学生は、みな忙しそうです。

しかし私の目から見て、この生活リズムも、まんざらでもないように思います。 就職活動中も研究を同時進行しなければいけない、ということは、 彼女らには就職活動中にも研究室に来る理由があります。 そして、研究室に来れば、同学年の就職活動中の人たちと顔を合わせ、 就職活動の情報を交換したり、愚痴をこぼしあったりできるでしょう。
ストレスのたまる時期、不安がよぎる時期に、同級生と顔を合わせられる 時間や環境があるのは、決して無駄ではないと私は考えています。

研究室を運用するということは、単に学術を磨く場を提供するだけでなく、 就職活動などの重要な時期を支える場を提供する、 という意味も持っていたいと私は考えます。また、 少しでもいい場所を提供できる教員に成長したいものだと思っています。
(その意味では私は何もしていないのですが、自律的に研究室を 有効活用している私の学生たちは流石だと思います。)


2007/4/13

先月某企業の某研究所にて、 (直接的には就職活動目的ではない)学生向けセミナーがありました。 そのセミナーに参加した1年生に、感想を聞いたところ、 「モチベーションが上がった」という声が続出していました。 非常にありがたいことです。
(※もっとも、このセミナーが露骨に採用目当てのものだったら、 いまどきの企業は1年生まで青田買いするのか、と怒る人がいるかもしれませんが…)

本学科は幸いにして、企業への就職状況は「人もうらやむ」恵まれた状況が続いています。 ただ、技術系のトップ企業に就職する人、そして最先端の研究開発業務に就ける人は、 大学院進学者のほうが圧倒的に多いようです。
この事実を大学受験のときから認識している高校生は、そう多くないでしょう。 …ということは、入学直後の大学1,2年生に対して、 大学院進学のモチベーションを高めることは、 この分野の教員として重要である、と考えられます。

よく技術系企業の知人から「優秀な学生をたくさん輩出してよ」と言われるのですが、 それには高い大学院進学率を維持するのが最も効果的だと考えています。
一方で、私も他の先生方も、学生には常に大学院進学を勧めるのですが、 学外の方からも世間の状況を説明していただく機会があると、 さらに効果があると思っています。

企業の研究開発関係の方には、ぜひ今後とも、 「たとえ採用対象が大学院生中心であったとしても、学部生へのPRもぜひ」 お願いしたいと思います。 長い目でみれば、それが企業のためであり、大学のためであり、教員のためであり、 学生のためであり、社会のためであり、 すべての関係者にとってハッピーなことであるように思います。


2007/4/12

最近は大学でも、学生が教員を評価する機会があります。 例えば各講義科目の最終週には、学生アンケートがあります。 本学の場合、所定のアンケート用紙に20個くらいの質問項目があり、 学生はその項目に1〜5の5段階評価をつけて提出します。 そして集計が終わると、教員には各項目の平均点が届きます。

いままで大半の科目で、何らかの項目で「4.9」「4.8」という平均点をいただいていますが、 残念ながらまだ「5.0」は見たことがありません。 一度ぜひ「5.0」をとりたいものだと思います。
小数第2位四捨五入だとしても、「5.0」をとるためには90%以上の人が「5」をつけてくれないといけません。 これは非常に難しいことのような気がしますが、それくらい多くの学生に支持される講義を目指したいものです。

大学教員の業績というと、学会発表と獲得資金ばかりがクローズアップされがちです。 しかし大学教員の業務はそれだけではありません。 上述の通り、講義も重要な業務ですし、また大学運営の用務に追われる先生や、 ボランティア的な社会貢献に重要な役割を果たす先生もいます。
こういう多角的な業務が、すべて対外的に業績として公表できるシステムがほしいものです。 (これらの業務を客観的に評価するのは難しい、というのはわかりますが…)


2007/4/10

ここ2週間ほど、研究室の大学院生と、毎日のように、就職活動の話をしています。 企業選び、エントリーシートの書き方、プレゼンのコツ、などなど。
みんな優秀なので、あまり心配はしていませんが、 いい就職先が決まることを祈っています。

私が自分の学科(およびコース)の学生に望む、就職先選びのポイントは、 こんなところでしょうか。 他大学、他学科の方には、あまり参考にならないかもしれません。

  • せっかく情報科学科、情報科学コースに進学したのだから、 その知見を少しでも活かせる業界、業種に進んで欲しい。
  • 大学院に進学した人は、せっかくなので「大学院進学者ならでは」 の進路を歩んでほしい。
  • 自分は一般消費者向けの仕事がしたいのか、 業務や専門業界向けの仕事がしたいのか、という観点はそれなりに重要。
  • 技術に興味や拘りのある人は、ハードウェアやソフトウェアの主力製品を持っている企業かどうか、という観点も考えてみてほしい。 同じSEやコンサルでも、製品を持っている会社と、持っていない会社では、業務への考え方が大きく異なるように思う。
  • 内定までに配属先が決まる企業もあれば、入社してから配属先が決まる企業もある。 しっかり確認してからエントリーしたほうがよい。
  • いまどき「男女平等」と言うくらい当たり前。 制度や風土として、どれくらい男女平等を実践しているか、説明できる企業でなければダメ。
  • 業務内容も、給与も、株価も、福利厚生も、あるとき一瞬でガラリと変わることがある。 おそらく一番変わらないのは、社風である。社風を見抜いてほしい。
  • 私の周囲を見る限り、東京から地方への転勤転職はよく見るが、逆はなかなか見ない。 地元志向の人は、本当に新卒で地元に就職すべきなのか、よく考えて。


2007/3/24

非常に素晴らしい研究発表を3つ聞いてきました。

気がついたのは、そのうちの一つは、私が2000年ごろに研究していたことと 基本的なアイディアが非常に似ていた、ということです。 もし私が、そのままそのアイディアを育てていたら、 当時としては新しい研究成果として、発表できたかもしれません。

ただ当時の私は会社員で、会社の都合で私はすぐに別の仕事に移り、 むしろ「以前の研究分野は忘れろ」くらいのことを個人的に言われていました。
いまにして思えば、会社の言うことは置いといて、 自分ではその研究を個人的に続ければよかったのかもしれません。 たとえ会社では別の仕事をしていようと、人の2倍働くつもりで、 その研究を続けていればよかったのかもしれません。

やはり、今日頑張れることは今日頑張るべきであり、 明日に延ばしてはいけないということなんでしょうか。

そのわりには、昨日の謝恩会では卒業生に、 「体を壊してまで会社のために働かなくてもいいんだ」 なんて発言してみたり、なんだか考え方が一貫していませんが。


2007/3/2

私は学生時代、アマチュアクラシック楽団の指揮を務め、 週2〜3回は人前に立っていました。 この経験は、自分の人生を大きく左右したように思います。

100人近い演奏者(それも収入のかかっていないアマチュア演奏者) の気持ちを一つにまとめるのは、 人間的にも音楽的にも未熟な私には、とても難しいことでした。 音楽の予習に大きな時間をかける必要もありましたし、 演奏者の気持ちを盛り上げる工夫も必要でした。
最後まで自分は未熟なアマチュア指揮者でしたが、 人前で話すこと、人をリードすることの面白さは、存分に味わえた気がします。

自分が教職者を目指したのも、その経験があったのが影響しているように思いますし、 いまの自分の講義も、その影響が非常に大きいと思います。 (裏を返せば、学生時代から成長していない、ってことかも…)
ひょっとしたら、理学部の教員としては、異質というか亜流というか、 一般的ではない方法論で仕事をしているかもしれません。


2007/2/14

就職活動中の3年生から、「プレゼンのコツ」について質問されたので、 こんな回答を用意してみました。 特にプレゼン経験の浅い3年生以下の皆さんの、何らかの参考になることを祈っています。
でも、とっさの回答だったので、自分の思うところを全部伝授しきれていません。 他にも色々と伝授すべきことがあったかもしれません。

  • 相手が話の内容をどれくらい知っているかを考えて、相手のレベルに あわせて言葉を選んで話す。自分のレベルで話すより、相手のレベルで話すことが重要。
  • 簡潔に話せることは、できるだけ簡潔に、てきぱき話す。 説明がダラダラしていると、シラけることがある。
  • 特に就職活動では、面接相手がどんなことに興味を持っているか、 相手がどんな人を欲しがっているか、相手がどんなことを高く評価するか、 をあらかじめ考えておく。
  • 「例えば…な感じ」というように、例示するとわかりやすい話題は、 できるだけいい例を考えておく。
  • 話題の主旨が一貫していることも重要。
  • これを満たした上で、さりげなく自分の得意な方向に話題をもっていく。
  • 就職活動の面接やプレゼンでは、 自分が他の応募者に対して何が優位かを考え、 その優位性をさりげなくアピールできるようにプレゼンを組み立てる。
  • 姿勢を正しくする。声が聞き手にまっすぐ届くような姿勢をとる。
  • 重要な内容ほど、相手に問いかけるような話し方をする。


2007/2/2

最近では仕事に関係ある日記をウェブに公開している大学教員も多いので、 私もちょっと書いてみることにしました。

普通はここで、ブログを立ち上げるところなんでしょうけど、 私はどうも商用のブログサイトが好きではありません。 ゴテゴテしているし、反応が重いことが多いし、へんな広告がついたりするサイトもあるし。
だいたい、こんなしょうもない雑談なんて、トラックバックされたくないし。 それに、大学の公式ページからリンクされたページに、 変なコメントつけられるのも、リスクがありそうだし。 (実際に他の先生で、それで訴えられている案件があるし。)

かといって、コメントその他の機能を全部はずしたブログってのも、ナンだよなぁ。 機能が要らないんだったら、シンプルなほうがいい。 家電製品はスイッチの少ないものを選ぶ、みたいな。(ちょっと話が違うかな。)

だいたい機械で生成したページって、 美的感覚的には、好きになれない場合が多いんですよ。 ブログに限らず、たとえばWikiとかも。 理屈とか機能性じゃなく。感覚とか生理的にとか、そういう問題。

いろいろ考えた結果「HTMLをベタ打ちするのが、最も自分にとって快適」 という結論に達しましたので、この形式で雑談を書くことにします。 こうして自分は、ネット上では原始人化していくんだなぁ… と思っています。


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