学校教育の家庭科では,体験的な活動を通じ,生活に必要な知識と技術の習 得や生活を工夫し創造する能力を育てることをねらいとして,手芸の一つであ る「裁縫」が選ばれることが多い.しかし,現実には非常に簡単な小物作りが 題材として行われており,製作するもののデザインは既成のものであり,もの づくりの最も魅力的な部分である,自分で考えて何かを作ることからは程遠い. また,教育現場へのコンピュータ支援教育の導入が活発であるが,画像や動画 を提示するようなコンテンツが中心で,創造・工夫する力の育成には十分でな い.本論文では我々がこれまで開発してきたシステムを元に初心者向け手芸設 計支援システムを学校教育にデジタル教材として導入することを考察する.支 援システムを開発する際に注意すべきこと,またそれを実現するための技術に ついて紹介し,家庭科の手芸教材ツールとするための要件をまとめ,報告する. 初心者を対象にワークショップの開催やユーザスタディにおけるシステム評価 などを行い,これまで初心者には難しかった「手芸作品をデザインする」とい う過程を効率的に支援できることを確かめた.手芸支援システムの事例をいく つか取り上げ,子供たちの創造力を養え,手芸の楽しさ,コンピュータを使っ て様々なことができることを伝える授業ができる可能性を示す.
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