●場所や人をトリガーとしたリマインダー

by 椎尾一郎(日経パソコン1998.1.26, No. 305, p.349)

 現在のPDAのリマインダー(予定を思い出させてくれる機能)は、時間をトリガーにして機能しています。たとえば、リマインダーのリストに、

と書いておくと、2時55分にベルを鳴らして知らせてくれます。

 将来、PDAは実世界の情報をどんどん取り込むようになるでしょう。現在の場所や目の前の物の情報は、衛星やPHS局からの電波、あちこちに貼りつけられた機械可読の目印(バーコード、無線タグ、赤外線ビーコンなど)から知ることができます。また、目の前の人の情報も、その人が持っているPDAと情報交換すれば得られます。そんなPDAのリマインダーのリストに、たとえば、

と書いておくとします。

 そこで、廊下でばったり山田さんに会うと、自分のPDAと山田さんのPDAがすかさず交信して相手を確認して、最初の用件を教えてくれます。つぎに、退社時間過ぎに自分の席を離れると、持ち帰らなければならない資料があることを知らせてくれます。また、帰宅途中にコンビニの前を通りかかると、コンビニの看板から発信される赤外線か電波の信号で、牛乳を買うべきであることを知らせてくれます。このような、時間と場所と人との組み合わせによるリマインダー機能が、将来のPDAでは提供されるでしょう。

 商品棚が、棚にある商品リストを発信しているようなスーパーがあったとします。また、PDAには買い物リストを入れておいたとします。すると、たまたま買い物リストにある商品の棚の前を通りかかったときに、PDAに知らせてもらうことも可能です。実は、スーパーの棚の商品をショッピングカートに知らせるシステムが、すでに実用化されています。現在は棚の商品に関する広告や割引き情報を、カートに取りつけたLCDに表示する機能だけですが、将来は個人の買い物行動に基づいたサービスも検討されているようです。


米Klever Marketing社のKlever-Kart(賢いショッピングカート)。
商品棚からの赤外線情報を受信して、棚にある商品の広告などを表示する。

URL:Klever-Kart systemを紹介しているサイト

http://www.klevernet.com/

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