●情報を配達してくれるプッシュ技術

by 椎尾一郎(日経パソコン1997.11.17, No. 301, p.327)

 全世界のWWW上の情報をすべて収集して索引をつくり、高性能な検索プログラムで欲しい情報を瞬時に探してくれるサービスがあります。WWW上の情報の質は玉石混交で、網羅する分野にも偏りがありますが、ほとんど無料で何でも答えてくれる夢の百科事典を、人類は手に入れたといえるでしょう。

 その一方で、わざわざこちらから情報を探しに行くのは面倒、ぼうっと眺めていたら、自然にうまい話が転がり込んでくるようなサービスは無いだろうかという、新たな要求がわいてきます。更新と同時に情報が届けば、常に最新の内容を見られます。いままでのWWWサービスは、売店へ新聞や雑誌を買いに行くような利用形態でした。これに対して、テレビや新聞配達のように、向こうから情報を届けてほしいという要望に応えるプッシュ型サービスが始まっています。受信側が情報を取りに行く(引き寄せる)方式をプル型、発信元から情報が送られる(受信側に押し込む)方式をプッシュ型のサービスと呼びます。ただし、現在プッシュ型と呼ばれているインターネットサービスのほとんどは、サーバーの更新スケジュールに合わせて、パソコンのプログラムが定期的に情報を受け取りにいく仕組みです。テレビや新聞配達のように、サーバー主導で情報を送り込んでいるわけではありませんが、利用者にはプッシュ型に見えるのです。

 Mac OS 8の英語版では、プッシュ型サービスを利用するためのソフトウェアが付属していました。その一つであるPointCastを使うと、スクリーンセーバーに最新のニュース、株価、気象情報などを表示します。気象情報には日本の天気図や気象衛星の写真もあって便利です。日本語版Mac OS 8には残念ながら付属していませんが、下記のURLからプログラムを取り寄せれば無料で利用できます。またInternet TELETEXTという、日本語のサービスでは、レトロな電光掲示板に最新のニュースを流してくれます(通常のテキスト表示も可)。このような専用アプリケーションの他に、最近ではWWWブラウザもプッシュ型サービスに対応してきています。

PointCastのスクリーンセーバー画面に日本の天気予報を表示するよう設定。

Internet TELETEXTの新聞の画面。

Macintoshで使えるプッシュ型サービス

http://www.pointcast.com/
http://www.marimba.com/
http://www.impress.co.jp/teletext/ 

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