近年,量子技術の研究開発が世界的に急速に進んでいます. 量子技術は経済安全保障上でも極めて重要な技術とされ,国をあげた取り組みが始まっています. 量子コンピューティングは,その一角を担う分野です. 特に,量子コンピュータおよびそれに着想を得た新しいタイプのコンピュータを用いて, 組合せ最適化問題を高速に解く研究は,実用化が進んできています.
将来の量子コンピュータ実用化の時代に備えて,その可能性を探り明らかにする研究をしています. また,この分野では世界と比べても非常に人材が不足しています. 量子技術の発展に貢献する人材の育成にも,力を入れています.
組合せ最適化問題は,身近な問題から社会課題まで, さまざまな場面に見いだすことができます. たとえば,渋滞の緩和,物流システムの効率化,勤務シフトや時間割の作成, 個人の希望にあう品物やサービスの推薦,テーマパークの効率的な巡り方の提案,... など解決できたらうれしい問題がたくさんあります. しかし大規模な問題になると,厳密な最適解を求めるのは難しく, スーパーコンピュータを使っても非常に長い時間がかかってしまいます. 実際には厳密に最適でなくても,十分に満足できる解を ある程度短い時間で求めることが可能です.
十分に満足できる解を得るために必要な労力はどのくらいか, どのくらい多くの要求を課すと満足な解が得られなくなるか などに注目して研究しています.