Active Book

1 Active Bookの概要

Active Bookは、ページの一部に貼りつけたバーコードを起点に、FieldMouseを動かすことで、紙の上に埋め込まれた情報にアクセスできる本である。図は試作したActive Bookの例である。絵本のページの左上のバーコードを読み取った後、登場人物の上に移動してボタンをクリックすると、登場人物の台詞が音声で再生される。

図の試作システムでは、座標と音のデータ形式として、HTMLのクリッカブルマップを利用している。バーコードを読み取ると、これに記載された名前のHTMLファイルを開き、このファイルの中のクリッカブルマップ情報にしたがって、音を再生している。このため、オーサリングには通常の市販のHTMLエディターを使うことができる。HTMLエディターで、絵本のビットマップ画像に音ファイル(ここではwav形式のファイル)を貼りつけていくことで、Active Bookを作ることができる。

Acrive Bookの利用形態としては、

などが考えられる。また、現在の試作システムではデータをローカルなファイルに置いてあるが、WWWサーバーにおいてネットワーク配信することも考えられる。通常のHTMLファイル形式でデータを持っているので、WWWブラウザーでも、Active Bookでもいずれを使っても同じコンテンツを見ることができる。

2 Active Bookのこのほかの応用

このほか、(1) テレビ番組雑誌に適用して、赤外リモコンインタフェース経由で録画予約を行なったり、チャンネルを切り替える、(2) 地図帳に適用して、ナビゲーションシステムに目的地や現在地を入力する手段として使う、(3) ビデオテープタイトルやカラオケ曲名のメニューブックに応用して、目的のコンテンツの再生を行なう、などの応用が可能である。


FieldMouseとは

FieldMouseは、ペン型機械式マウスと、バーコードリーダーを組み合わせたデバイスである。一般にマウスを、本・紙・壁・机などの平面に当てて移動すると、相対的な移動量を測定できるが、絶対位置を知ることはできない。そこで、平面に貼られたバーコードと組み合わせることで、絶対位置を測定する。使用者は、まず平面に貼られたバーコードを、バーコードリーダー部分で読み取る。次にこのバーコードを起点に、マウスを移動することで、バーコード位置を原点とした平面上の絶対位置を知ることができる。バーコードには、用途により、平面を特定する情報や、提示すべき情報へのポインターを埋め込んでおく。

本装置により、紙や机、壁、床など任意の物体の表面をペンタブレットのような絶対位置入力装置と同様に扱うことがでる。たとえば、本、紙、壁などに複数のリンクを埋め込むような、ARシステム、実世界指向システムを安価に構築できるようになる。FieldMouseの詳細とその他の応用例はこちらを参照のこと。


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