#author("2021-11-02T12:52:22+09:00","ocha","ocha") #author("2021-11-02T12:58:30+09:00","ocha","ocha") [[SiioLaboratory]] *Terminal.appからのコマンドでSiriを動かす方法 [#y3cf656c] こちらもご覧ください。 http://is.ocha.ac.jp/~siio/?How2AppleScript ** AppleScript (もしくはOSA, もしくはAppleEvent) [#s12e669c] ターミナルからのコマンドでSiriが操作できれば、シェルスクリプトやプログラムの中からSiriを使えるようになります。 そうすれば、プログラムからスマート家電を制御する、ネットからの情報を音声で取得する、などが可能になります。 macOSのプログラムの一部は、 [[Open Script Architecture (OSA):https://ja.wikipedia.org/wiki/Open_Scripting_Architecture]]をサポートしていて、 [[AppleEvent:https://ja.wikipedia.org/wiki/Apple_event]]に対応しています。 OSAは、アプリケーション間のコントロールを行うために機構で、AppleEventはその際に交換されるメッセージです。 また、アプリケーション間でAppleEventを送受信するスクリプト言語に、AppleScriptが使われてます。 ** AppleScriptの例 [#zec3b26a] AppleScriptを使えば、対応したアプリケーションに、それを操作するメッセージが送れます。 例えばiMessageの椎尾のアカウントにメッセージを送るには、 tell application "Messages" send "Hello!" to participant "siio@mac.com" end tell というAppleScriptを用意します。macOSに標準値ついているスクリプトエディタ.app (英語名 Script Editor.app)を使うと、AppleScriptのテストが楽です。 シェルスクリプトファイルで、 #!/usr/bin/osascript tell application "Messages" send "Hello!" to participant "siio@mac.com" end tell という内容を用意して、実行可能にしておけば、ターミナルからも実行できます。また、ターミナルのコマンドラインから、 osascript -e 'tell application "Messages" to send "Hello!" to participant "siio@mac.com"' とすると同じことができます。 何かの状態をモニターするプログラムの中で、その状況をメッセージで知ろうとする場合に、役立つテクニックかと思います。 (例えば人気チケット販売サイトをモニターして、キャンセルが出たらメッセージで伝えるというような時) これが可能なのは、Message.appアプリケーションがOSAに対応していて、sendというコマンドを提供してくれているからです。 **「Siriに頼む」アプリケーション [#te3a75df] なので、「Siriを起動してメッセージを送るアプリケーション」がOSAに対応していれば、ターミナルからAppleScriptを起動させることで、Siriを制御できるはずです。 macOSには「Siriに頼む」機能があります。これを担当しているアプリケーションが、/Applicationsの中にあるSiri.appです。 &ref(SiriApp.jpg); ターミナルからアプリケーションを起動するためには、open -aコマンドが使えます。Siri.appを起動するためには、 open -a Siri.app とタイプします。 しかしながら残念なことに、Siri.appはOSA (AppleEvent) に全く対応していません。 ** System Events.appを使う [#i283fc87] OSAに対応していないアプリを操作するチート技がSystem Eventを使う方法です。 キーボードやマウスのイベントをプログラムで作り出して、人が操作しているような状況を自動化します。 GUIを自動化しようとするときの伝統的な技法と言えます。 コマンドラインから起動して、最初の引数の文字列をSiri.appに送るスクリプトを以下に紹介しておきます。 #!/usr/bin/osascript on run argv tell application "Terminal" activate do script with command "open -a Siri" delay 0.4 tell application "System Events" keystroke (item 1 of argv) key code 76 end tell delay 0.1 tell application "Siri" to quit delay 5 close window 1 end tell end run これで動くと思ったのですが、日本語が通りませんでした。「システム環境設定」「Siri」「言語」を英語に設定すると(英語で)以下のように動きます。 % ./siri.sh 'What time is it?' % ./siri.sh 'Turn on the light.' 日本語だとkeystrokeがうまく動作しないようです。かな漢字変換が入るところなので当然かなと思います。 それで、コピペでコマンドを渡すバージョンを作りました。以下です。 pbcopyやpbpasteは、ペーストバッファに読み書きするコマンドで、コピーペーストに相当します。なのでこのコマンドを実行した後にペーストすると、コマンドの引数が残っています。 #!/bin/sh #Shell and OSA script to send a message to Siri. #Works in any language, though English is recommended. if [ $# = 0 ]; then echo 'Usage:' $0 '"Message to Siri."'; exit 1; fi #copy the input text to the paste buffer echo $1 | pbcopy #open the Siri input window open -a Siri #start Siri menu #send command-v key combination (paste) to Siri and quit osascript -e ' tell application "Siri" delay 0.5 #required for Siri response tell application "System Events" keystroke "v" using {command down} key code 76 #return key end tell delay 0.5 #required for Siri response quit end tell ' これを例えばsiri.shという名前で保存して実行可能にしておけば、 % ./siri.sh 今日の天気は? % ./siri.sh あかりを消して % ./siri.sh あかりをつけて % ./siri.sh "今の時間は?" % ./siri.sh "pink floydをかけて" などの操作がターミナルから可能になります。 Siriの応答速度に合わせてdelayを設定している微妙なプログラムですので、コンピュータ環境によって修正の必要があるとは思います。