まえがき。

お茶の水女子大学の 伊藤貴之 と申します。理学部情報科学科に2005年に赴任し、2024年から理学部情報科学科との兼担という形で共創工学部文化情報工学科に所属する予定です。 これから設置される文化情報工学科について、理学部情報科学科との兼担教員の立場から個人的な見解を述べます。

※本ページの記載内容はあくまでも、個人的見解であり、所属大学や所属学科の意見を代表するものではありません。また、他大学や他分野を志望する方の参考になるとは限りませんので、ご容赦下さい。
※本ページの記載内容は学科の設立準備の進行に沿って順次更新されます。その点もご容赦ください。

本学情報科学科について興味のある人は 「お茶大理学部情報科学科の受験を考えている高校生・受験生の皆さんへ」 もご一読頂ければと思います。

お茶大の2つ目の情報系学科。

お茶の水女子大学には既に、理学部情報科学科が1990年に設立されています。なぜいま、本学は「情報」の名がついた2つ目の学科を設立するのか、といった点について疑問に思われた方もいるかと思います。
結論から先に言うと、お茶大での2つの情報系学科には

  • 情報科学科:計算機科学の基礎を幅広く学ぶ学科
  • 文化情報工学科:データサイエンスを習得した上で文化を情報処理する学科
という違いがあります。以下に詳細を説明いたします。

学問の縦糸と横糸。

情報系学科を志す高校生の皆さんにとって、進路選択で最初に悩む点の一つに、「情報という単語が含まれた学部・学科が多様すぎて、選び方がわからない」という点があるのではないかと思います。私は情報学関係の学部・学科は大きく以下の2種類に分けられると考えています。
  • 情報や計算機そのものを探求する学部・学科
  • 情報や計算機を利用してさまざまな学問や産業の問題を解決する学部・学科
この考え方を私なりに図示してみました。情報という学問は、それ自体を縦方向に掘り下げる学問と、多様な学問に幅広く(横方向に)使いこなす学問に分けられると考えます。このことから私は「情報学は学問の縦糸と横糸」であると考えています。

お茶大を例にしますと、縦糸に相当する「情報や計算機そのものの原理を深く掘り下げる学問」理学部情報科学科 が担当します。それに対してお茶大では、横糸に相当する「情報や計算機を利用してさまざまな学問や産業の問題を解決する教育」が、 データサイエンス学際カリキュラム を中心として大学全体として展開されています。 この考え方と同様に、言語や芸術をはじめとする文化の理解のために情報工学を活用する文化情報工学科も、横糸に相当する学科であると考えられます。

このような考え方は海外のいくつかの国で先行しています。例えば情報科学教育に関するアメリカの記事にも、情報科学教育は「計算機科学・データサイエンス」の2本柱になる、といった論調が多く見られます。「計算機科学」が上述の縦糸に、「データサイエンス」が上述の横糸に相当します。日本の大学の情報系学部・学科も、これに似た流れに沿って組織改編が進んでいるものと考えています。

では「縦糸」と「横糸」とどちらを選ぶか…という話になるのですが、あくまでも私の個人的な見解として、こんな考え方はいかがでしょうか。
  • 自分は純粋に理系学生として大学生活を送り、IT業界の研究者やエンジニアを目指したい…ということであれば、「縦糸」を選ぶほうが確実かと思います。 お茶大でしたら 理学部情報科学科 も検討してみてください。
  • データサイエンスを習得したい、計算機を道具にしてそれ以外の自分の好きなことに挑戦してみたい、自分はまだどんな職業に就きたいか決められないので幅広い勉強と体験をしてみたい、文系と理系と片方しか選べない大学生活なんてつまらない、などのような考え方をお持ちであれば、「横糸」を選ぶのも一案かと思います。文化情報工学科はその有力な選択肢になるかと思います。

文理融合について。

データサイエンスにもとづく文化情報工学科のカリキュラム。

近年では多くの大学において、文系と理系が混じった「文理融合」という組織や取り組みが多数生まれています。文化情報工学科も文理融合型の学科の一種です。
※なぜ工学部なのに文理融合?と思われるかもしれませんが、それについては後述します。

文化情報工学科では、データサイエンスをはじめとする情報工学的な基礎手法を前提知識として習得しつつ、同時に人文科学の諸分野(言語・文学・地理・歴史・哲学・芸術…)を選択的に学びます。最終的には人文科学の諸問題を情報工学的に解くことで、新しい文化や産業の創出や、それらに資する知識の発見などを目指しています。上述の「横糸」の概念を強く推進した学科の一つともいえます。 文化情報工学科のカリキュラムをざっくり説明すると以下のとおりです。

1,2年生 データサイエンスの基礎知識、およびそれ以外の情報科学・情報工学の基礎知識を履修しながら、人文科学の諸分野に関する概論的な講義を履修する。
3年生 人文科学の諸分野に関する演習科目のいずれかを履修し、その分野について深く勉強すると同時に、情報科学・情報工学の先端的な科目を履修する。
4年生 情報科学・情報工学の演習科目を履修するとともに、卒業研究に着手する。卒業研究は文系・理系の両方の教員から指導を受けることができる。

※これらの科目とは別に、共創工学部の他の学科との共通科目がいくつかあります。工学の共通概念にかかわる多くのことを、学部の共通科目にて学びます。

人文科学のデジタル化。

ここまで読まれた高校生・受験生の皆様の中には、「人文科学(言語・文学・地理・歴史・哲学・芸術…)と情報工学なんてどう結びつくんだろうか」と疑問に思われる方もいるかもしれません。これについて以下に説明します。

現代の人文科学は想像以上にデジタル化が進んでいます。文学や地理・歴史の資料の多くはデータベースという形で計算機に蓄積されています。演奏・舞踊・絵画・彫刻・建築といった芸術作品はデジタル技術によって記録されています。このようなデジタル化の取り組みをデジタル・ヒューマニティーズといいます。人文科学を専攻される方は、最新の学問に接すれば接するほど、計算機やデジタル技術が重要なスキルになります。そして、文化情報工学科のカリキュラムは、デジタル・ヒューマニティーズの考え方を強化したものと考えることもできます。

文化情報工学科に配属になる文系の先生方の中にも、例えば、計算機の音声認識を使って言語学を研究する、情報システムを活用して地理学を研究する、といった先生がいます。文化情報工学科の理念はその延長上という面もあります。

文系・理系の分断の弊害。

高校生の皆さんの多くは高校1,2年生の頃から文系と理系にわかれて授業を受けるかと思います。
これは日本特有のシステムで、他国の教育システムは日本ほど明確に文系と理系に二分されていないと言われています。
この教育システムの弊害として、理系の学問に関心を持たない文系学生や、文系の学問に関心を持たない理系学生が多い、という点が指摘されています。
一方で近年、これからは文系・理系の両方において一定以上の素養をもった人材が重視されるといういくつかの説が唱えられています。上述のデジタル・ヒューマニティーズに代表されるように、文系の学問にも情報技術をはじめとした理系の知識が必要になる機会が増えています。逆に理系の学問でも、新しい技術を開発したことで、文化や法律を侵害していないか、経済効果がどのように現れるか、といった点にこれまで以上に関心をもつことが重要になると予想されます。
近年になって、現代の高校教育の弊害を解決する大学教育施策が多数取り入れられています。例えば文系専門の大学でデータサイエンス教育を採用したり、理工系専門の大学で文系科目を重視したカリキュラムを採用したり、といった施策が知られています。
このような社会的背景を鑑みた上で、文理融合型の学問を目指すということに対して、ぜひ自信をもって志望して頂きたいと望む次第です。

工学部とは。

理学部か工学部か。

私が高校生の皆さんからよく訊かれる質問の一つに
「理学部と工学部ってどう違うんですか」「情報科学と情報工学ってどう違うんですか」
という点があります。
ごく大雑把にいうと、理学部は自然の原理を学ぶことに主眼を置き、工学部は産業に貢献する技術を学ぶことに主眼を置きます。

いま勉強していることが、社会でどのように役に立つか、あるいは自分のキャリアにどう関係あるか、といった点を意識しながら大学生活を送りたい人にとって、工学部はとてもいい組織であろうと思います。

日本に限らず世界的に、工学(情報工学を含む)を学ぶ女性の増員は緊急な課題とされています。いくつか理由はあるのですが、私が最も重視している点は、 社会に普及している工業製品やソフトウェアの中には、女性が主たる利用者である工業製品やソフトウェアも多いにもかかわらず、その研究開発に携わる女性が少ないため、女性特有のニーズを反映できてない面があり、ひいては女性の社会的不利益につながる と言われている点です。

しかし左図にあるように、ある調査によると、理学部はまだしも、工学部は2021年時点でいまだに女子学生の比率が20%弱にとどまっています。情報系学科にいたっては2011年から2021年にかけて女子学生の比率が微減しています。
情報系学科で女子学生の比率が微減したといっても、情報科学・情報工学の女子の人気が下がっているわけではありません。あくまでも、男子の志願者の増加が急激すぎて、相対的に女子学生の比率が下がっている、という意味であろうかと思われます。

女子大学における情報工学系の学科設立は、このような現状を少しでも改善するための一手段になる、と私個人的には期待しています。 私が以前に書いた お茶の水女子大学における情報系学科への進路事情について解説した記事 でも、「男子の割合が非常に高い環境で大学生活を送る自信がないので、情報系学科は女子大学でのみ受験し、女子大学以外の大学では他の学術分野を受験したい」という受験生がいるのを紹介しています。 女子大学での情報工学系の学科設立は、このような受験生にとって朗報に違いないと考えています。

工学部の概念を拡げる。

工学部というと「モノを製造する技術を勉強する場所」というイメージを持つ方もいると思います。確かに、機械・電気・化学・材料といった学科からは、自動車、電気製品、化学製品を製造するイメージがあるかと思います。
しかし、工学部が扱う範疇はそれだけではありません。例えば「経営工学」「金融工学」は企業や金銭の動きを創る学問です。また例えば「メディア工学」「コミック工学」というようにデジタル作品を創作することを目的とした工学もあります。工学部が扱う学問は、工場などでの製造物に限らず、もっと幅広くいろいろなものを創り出す学問であると考えます。

お茶の水女子大学に新設される文化情報工学科は、工学部に属していながらあえて文理融合型の学科を構成することで、実学や産業となるような文化を創出する、あるいはそのような文化を創出するための知識を発見する、といった新しいタイプの目標をもった工学系学科のひとつになると私は考えています。
一方で「日本全国的にみても特に女子率の低い機械工学や電気工学のような学科を女子大につくってほしかった」という声があるのも認識しています。私個人的にはその意見に同意できる面もあります。ただ現実的には、お茶大が機械工学科や電気工学科をつくりたいと申請しても認可されなかっただろうと想像します。

私は子供の頃、「日本は食料や燃料を輸入しないと生きていけない。だから、頭脳や技術を駆使して外貨を稼げるものを創出する必要がある。」と何度も習いました。そして20世紀には、日本製の自動車や電気製品が「輸出によって外貨を稼ぐ製品」として活躍しました。
21世紀となった現代において、「文化」こそが、日本が外貨を稼ぐ手段として伸びしろがあるもの、と私は考えます。 ゲームやマンガをはじめとする日本の現代文化が世界的に注目されているのは言うまでもありませんし、日本の地理や歴史にあこがれて来日する外国人旅行者は以前より大幅に増えています。
日本の文化を実学や産業に結びつけることが、日本の未来の繁栄につながる一要素であり、文化情報工学科はそのための人材を輩出できる重要な学科になる…と、私は期待する次第です。

お茶大にするか、他の大学にするか。

お茶大の受験に関して、偏差値や倍率、試験問題の傾向などもよく質問されるのですが、ここではそれ以外によく質問される内容について個人的見解をまとめます。

女子大。

私が観察する限り、情報系学科の志望者は「もともとコンピュータが好きだった人」「これからコンピュータおよび情報科学を勉強したい人」に大きく分かれるように思います。そして私が2005年から勤務していた理学部情報科学科に限って言えば、(女子大であることと関係あるかわかりませんが)後者の比率が高かったような気がします。
そして実際に入学した学生の証言として「コンピュータの勉強は男子と女子でやり方が違う気がする」という話をよく聞きますし、また「初心者のうちは女子どうしのほうがわからないことを質問しやすい」という話もよく聞きます。 最近のIT業界では女子限定の勉強会やプログラミングイベントが非常に盛況であることを考えると、本学の学生以外にも同様に考えている女子学生は一定数いるだろうと思います。

これらを総合すると、きっと文化情報工学科も「これから情報工学を勉強したい女子」にやさしい環境になると思って間違いないと思います。

一方で、情報産業は女子学生の雇用にとても熱心ですし、情報系の学術機関も女子学生の活躍を熱心に支援しています。 そして、情報系の女子学生と接触したければ女子大学に接触するのが最も簡単です。 その結果としてお茶大には、 ありえないくらい多くのIT関連の企業や組織から、セミナーや合同勉強会、インターンシップをはじめ、さまざまな取り組みへのお誘いが集まってきます。 これは本当に恵まれた環境であると思います。

もう一つ重要な点に日常生活があります。情報系学科に進学するとしたら、男子が圧倒的に多い学科に進学するか、女子大に進学するか、両極端な選択が待っています。女子大に進んだら当然のように、女子にとって住み心地のよい空間と、多くの女子が興味をもつ日常会話 が待っています。他大学の女子学生がお茶大に遊びに来るたびに「お茶大がうらやましい」という話をよく耳にします。 これがどれくらい自分にとって重要なことであるか、という点も一度お考えになるとよいでしょう。

少人数教育。

お茶大は少人数編成で親身な教育をセールスポイントにしています。 文化情報工学科は定員20名で、他大学の情報系学科と比べてだいぶ小規模です。
私は2005年に理学部情報科学科に赴任して驚いたのですが、ちょっと出席率や課題の出来の悪い学生がいると、すぐに教員の間で話題になり、対策を議論します。とても思いやりに満ちた体制です。大きな大学では、そこまで1人1人の学生に対して早急に気にかけてくれるのは難しいのではないかと思います。 言葉は悪いかもしれませんが、落ちこぼれにくい安全な体制という意味で本学は実に優れていると思います。これこそ少人数編成らしい特徴ではないかと思います。

専門性をつける。

昔から企業の採用人事などの人がT字型の人材が欲しいという言葉を使うことがあります。 ざっくりいうと横方向に幅広い知識や経験を持ちつつ、1つの専門を深く突き詰めた経験がある人材という意味になります。

文化情報工学科に限った話ではありませんが、文理融合型の学科を出た人は「人一倍の幅広い知識や経験をもった、非常に横長なT字型」の人材になりやすいように思います。一方で、卒業後に専門性の高い進路や職業を選びたい人の場合には、文理融合型の学科だからこそ、自分がどの専門性を深く掘り下げたいかを意識することは重要ではと考えます。

最終的にITの専門家を目指したい方へ。

このページにたどり着いた人の中には、文化情報工学科に入学したとしても、最終的にはその幅広い学問の中のある一部に絞ってその専門性を高めたい、という人もいらっしゃるかと思います。 以下、情報工学について深く掘り下げてその専門家を目指したいという方、もう少し具体的に言うと「学部では文理融合で学びたいけど、最終的には情報技術の研究者やエンジニアを目指したい」という方がいましたら、一読して頂ければと思います。

文化情報工学科のカリキュラムでは、情報工学という広い学問分野の中から、いくつかの分野を必修・選択科目として提供しています。もし情報技術の研究者やエンジニアを目指したいのであれば、これらの科目はもれなく履修することが重要かと思います。しかも、これらを全て履修したとしても、情報技術の専門家を名乗るには他にも勉強することがあるかと思います。
この点について不安のある人は、入学時に「情報科学副プログラム」をチェックしてみるといいかと思います。3年生に進級したときに重点的に履修すべき情報科学・情報工学の科目を知ることができると思います。

また、情報技術の専門家になるためには、数学とプログラミングの実力がとても重要になります。具体的には 理学部情報科学科 に関する解説の「何を学ぶべきか」という欄をご一読ください。

もう一つ重要な点として、少なくとも本学では、IT業界のトップ企業に研究者やエンジニアとして就職できている学生は圧倒的に大学院進学者が多いという現実があります。具体的には 理学部情報科学科 に関する解説の「情報科学科進学者の進路」という欄をご一読ください。

文系から理系への転向の可能性。

文化情報工学科に入学する人の中には、大学受験時には文系科目を中心に勉強して入学したものの、卒業するまでに理系に転向する、という学生もいるかもしれません。むしろ、そういうフレキシブルな進路変更ができるのが文化情報工学科らしい点であるともいえます。もし私の研究室にそういう学生が所属することがありましたら、全力で応援したいと思います。

私の研究室には、大学入学時には文系だったけど大学院受験までに理系に転向したという学生・卒業生がすでに3人います。私はいままで、文系から理系への転向はとても難しいことだと考えていましたが、この大学に長らく働いてみて、決して不可能なことではないことを知りました。もし、そういう学生が私の研究室に来ることがあったら、可能な限りの応援をしたいと考えます。

伊藤について。

卒業研究の指導者としての伊藤について知りたい方は、まずこちらのページをご参照ください。
伊藤研究室の研究プロジェクトのページ
伊藤研究室への配属志望学生の皆さんへ(情報科学科向け)
文化情報工学科には2人の伊藤先生がいます。このページでは「伊藤」といったら私こと伊藤貴之を指していると思って下さい。

伊藤が従事する研究分野。

2005年にお茶の水女子大学に赴任して以降、伊藤は一貫して情報可視化という研究分野に従事しています。 情報可視化は「データを効果的に画面表示する技術」の総称で、データサイエンスの重要な一工程を担う技術です。
情報可視化はほとんどあらゆるデータを対象とすることができます。よって情報可視化を卒業研究に選んだ学生の多くが、自分の興味や趣味に関係あるデータを可視化しています。自分の好きなことをなんでも研究の対象にできるのが卒業研究のテーマとしての情報可視化の強みでもあります。共創工学部の各先生方との協業によって情報可視化の使い道を拡げることも可能になるかと思います。

文化情報工学科に赴任して強化したい研究テーマとして、音楽や絵画の分析や理解があります。
伊藤は音楽を趣味にしていて、学生時代にはクラシック楽団の指揮者を担当し、会社員時代にはFM放送の番組テーマソングを担当しました。また絵画も趣味にしていて、学生時代のヨーロッパ旅行では美術館に20ヶ所行ったものでした。
音楽や絵画の分析や理解は、伊藤の授業科目である「マルチメディア」「コンピュータビジョン」の内容を応用することで実現できます。せっかく文化情報工学科に属するからには、伊藤も文化に関する研究を強化したいと考えています。

情報可視化を用いた音楽や絵画の分析や理解について、 YouTubeに公開されている文化情報工学科のオンライン模擬授業 にて語っています。よろしければ閲覧して頂ければと思います。

文化情報工学科でのコラボレーション。

文化情報工学科では複数の先生に従事して卒業研究を進めることができます。どの先生とどの先生を選ぶかによって、多様な組み合わせの研究が可能になります。伊藤と他の先生のコラボレーションによってどのような研究を進めることができるか、あくまでも一例をあげておきます。他にもいろいろな可能性があるかと思います。参考にして頂ければと思います。
  • 地理や歴史のデータベースと情報可視化を連携したビジュアルな分析。
  • 文学作品のテキスト分析と情報可視化を連携したビジュアルな分析。
  • 言語学の分析のための音声認識結果の情報可視化。
  • ダンスや演劇などの舞台芸術とCGや音楽情報処理を組み合わせた新しいデジタル表現。

理学部情報科学科との兼担教員として。

伊藤が担当する授業科目の大半は、もともと理学部情報科学科で開講していた科目であり、文化情報工学科と理学部情報科学科と両方の学生が履修する科目になります。純粋な理系の学問として情報科学を専攻する学生と同じレベルで授業に臨む必要があります。最初は大変かもしれませんが、一定のレベルで情報工学を修得するには重要なステップになるかと思います。

伊藤は文化情報工学科と理学部情報科学科の両方から研究室に学生を受け入れる予定です。理学部情報科学科から伊藤研究室に配属になる学生はほぼ100%大学院に進学しますし、さらに博士後期課程にも進学して博士号を目指す学生も多数います。さらに、他大学や海外からの大学院受験によって伊藤研究室に加入する学生も多数います。つまり、伊藤研究室は文化情報工学科が設立される以前から大きな組織となっています。
文化情報工学科の学生が卒業研究に着手する頃には、伊藤研究室はさらに大きな組織になる可能性が高いです。 お茶大は少人数教育をモットーにしていますが、伊藤研究室は文化情報工学科が設立される以前から非常に人数が多く、とても少人数教育といえる状況ではありません。少人数教育体制による手厚い卒業研究指導を希望される方には、伊藤研究室よりも他の研究室を選んだほうがいいかもしれませんので、その点はご容赦下さい。

もう1点の留意事項として、情報科学科から伊藤研究室に入った学生はほぼ100%、お茶大の大学院に内部進学するという点も覚えておいて下さい。さらに、文化情報工学科で伊藤研究室に属した学生が伊藤研究室所属のまま大学院に進学する場合には、理学部情報科学科のカリキュラムに則った入試を受験し、理学専攻情報科学コースに進学することになる予定である点も理解しておいて下さい。この進路を希望される方は、情報科学科と共有されている科目はできるだけ全て履修する必要があるかと思います。

最後に。

先生にメールしてみよう。

多くの大学の先生はメールアドレスを公開しています。 志望校を調べていて疑問なことがあったら、大学の先生にメールを書くなどして直接連絡して構いません。 「こんな初歩的なことを質問したら失礼では」なんて遠慮する必要はありません。
多くの先生は高校生や受験生からの質問の連絡を喜ぶでしょう。 逆に、その連絡に対して返事のない先生や、対応の悪い先生は、きっと入学してからも同じような態度をとることでしょう。 大学の先生に連絡を取るという行為は、皆さんが大学の先生を審査する機会と考えることもできます。

ご家族の皆さまへ。

オープンキャンパスの研究室公開や、学園祭の模擬授業などで、ご家族連れでいらっしゃる方々が最近とても増えています。私はそれをとても喜ばしいことだと考え、深く感謝する次第です。
現在の大学は20年前や30年前、お父様やお母様がご在学中の大学とは、まるで違うものになっていると私は考えています。現在の大学がどのように変わっているかをご家族で体感してくださることで、受験生の皆さまご自身による正しい人生の選択を応援してくださることを期待しています。